第4話 『ドジっ娘』
宿屋でのシュンとネカの部屋は隣同士だった。
「じゃ、また明日ー」
部屋に入ろうとするシュンにネカが慌てて言う。
「あ、あのっ、もう少しお話しませんかっ?」
「ん?」
「まだご飯食べたばかりですし。明日の予定も話し合っておきたいなって」
「んー、それもそっか。今日手に入れたアイテムを売ったあとのことを打ち合わせとくか」
「はいっ」
シュンが部屋に入り、ネカがあとについていく。シュンがベッドの縁に座ると、ネカもその隣に座った。
「いや、ネカまでこっちに座ることないぞ? あっちの椅子に座れば?」
「えっ? あっ、はい、そうですね……」
顔を赤くして、ネカが言われた椅子に移動していく。
陽はすでに暮れていたが、室内は備え付けの照明具で暖色の明かりが灯されていた。
シュンがあくびを噛み殺して言う。
「明日の予定だっけ? とりあえず朝メシ食ったあとにアイテム売りに行って、終わったらなんかのクエストでもやるか?」
「そうですね、わたしもそれでいいと思います」
「ちなみにネカのランクはどれくらいなんだ? 俺はBマイナスなんだけど」
「わ、わたしはCです……」
「ふーん、あんだけ強いのにCなんだ?」
「し、試験に失敗しちゃって……普段も失敗ばかりだから、なかなかランクが上がらなくて……」
「ふーん、大変だね」
「す、すみません……」
「謝らなくてもいいけど」
……実力を出せればA以上は軽くいけそうなのにな。
「それじゃ、これからは練習していったほうがいいかな」
「へ……?」
「一人でも緊張せずに実力を発揮できる練習。ランクの試験じゃ、俺はそばにいれないからな」
「~~~~っ、そ、そうですね……っ、わたし一人でも大丈夫なように練習しないと……っ」
……ずっとシュンさんに頼ってたら迷惑だもんね……また追い出されちゃうかもしれないし……っ。
「じゃ、明日はクエストが終わったあとにでも、ネカの練習をすることにするか。俺も付き合うからさ……まあ、俺がいなくてもっていう練習なんだけど」
「い、いえ、ありがとうございます。わたしも少しずつ慣れていきますので……よろしくお願いします」
ネカがぺこりと頭を下げる。
「うん。徐々に慣れていこうや」
「はいっ」
明日の打ち合わせを終えて、二人が立ち上がる。
「部屋の前まで送ってくよ。隣だけど」
「あ、ありがとうございます」
ドアへとシュンが先導し、ネカがついていく。そのとき、なにもない場所でネカが足をもつれさせた。
「わわっ⁉」
「ん、おっと……?」
バランスを崩した彼女を支えようとしたが、シュンも一緒に転倒してしまった。
仰向けになるシュンの上に、ネカがかぶさった体勢になっている。
「「いたた……」」
ネカが腕を伸ばして、シュンを見下ろす。一瞬、二人は見つめ合った。
ネカがはっとした。
「~~~~っ、す、すみませんでした……っ!」
「いや、べつにいい……」
彼の言葉を最後まで聞かず、ネカは駆け出していき、慌ててドアの外に出ていってしまう。隣の部屋から、がちゃっばたんっ!と音がした。
「やれやれ……やっぱおっぱい大きいほうだったな」
冷静に分析するように独りつぶやいた。
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