第2話 『パーティー結成』
ひったくり犯からバッグを取り返したあと、ネカとシュンはバッグの持ち主からお礼を言われていた。
「本当にありがとうございました」
「いえいえ、無事に取り戻せて良かったです」
ネカは笑顔で持ち主に返答していたが、シュンはふわぁとあくびをしていた。
ひったくり犯は警察に連行されていた。バッグの持ち主やネカ達も警察から事情を聞かれていたが、そこでシュンは逆に警察に聞いていた。
「ひったくり犯を捕まえたんだからよ、金一封なんか出ねえの?」
警察は苦笑しながら首を横に振っていた。シュンはちぇっと残念な声をこぼしていた。
警察からの聞き取りも終わったあと、改めてネカはシュンに頭を下げた。
「あ、あの、さっきは本当にありがとうございます。シュンさんのおかげであの人を助けられました」
「んー、助けたのはきみだろ?」
「助言していただけたのはシュンさんですから。あなたのおかげで、先生のとこにいたときのように魔法が使えました」
「ふーん」
シュンはネカのことを見つめる。
……耳が少し尖っている、エルフか。黒いローブで分かりにくいが、胸も大きめだな。着やせするタイプか。
「あ、あの、シュンさん?」
「ネカっていったっけ、良かったら、俺とパーティーを組まないか?」
「え……?」
「ネカは強えーし、俺のタイプでもあるし、ちょーどいーかなって」
「ふぇ? ふぇ?」
ネカはしどろもどろした。
「イヤならべつにいいんだけどさ。無理強いはしねーから」
「……っ」
少し前のめりになるように、ネカは勢いこんで答えた。
「い、良いんですかっ⁉ わたしで良かったらぜひっ!」
「そんじゃ決まりだな」
「でも本当にわたしで良いんですか? シュンさんだったらもっと他に良い人がいるんじゃあ?」
「いーのいーの。さっきも言ったけどネカは強いし、俺の好みの女の子だから」
「こ、好みの……っ」
ネカの顔が赤くなって、後ろを向いてしまう。彼女の胸はどきどきしていた。
かわいーなー。
「んじゃ、行こーか」
「え、行くって?」
「そりゃもちろんダンジョン。近くに遺跡があるから、そこに」
「二人だけで大丈夫ですかね……? あそこは魔物も出ますし……」
「だいじょぶだいじょぶ、ネカがいれば百人力だから。最悪逃げればいーし」
「…………」
「んじゃしゅっぱーつ。おー」
「ぉ、おー……?」
二人は街を出て、草原の道を歩く。途中で道を外れて、やがて目的の遺跡が見えてきた。
「ちなみになんで遺跡に行くんですか? ギルドの依頼とか?」
「んにゃ。ただのアイテム回収だけど?」
「なるほど、遺跡の遺物を回収するんですね」
「それもあるけど、あれもだな」
シュンが視界の先を指差す。かつて冒険者だった死体が魔物となって動いていた……いわゆるスケルトンやリビングデッドなどと呼ばれる魔物だ。
「ま、魔物……っ⁉」
「あれを倒して、身に付けているアイテムや装備をいただく。売ればそれなりの金になる」
「い、良いんですかそんなことして? 泥棒になったりとか?」
「生きた人間やエルフとかならともかく、あれはもう魔物化してるから。ドラゴンとかから素材を取るのと変わんないから」
「な、なるほど、再利用っていうことですねっ」
「そーそーリサイクルリサイクル」
「了解ですっ」
素直で可愛いなー。
「んじゃネカ、街でやったみたいに魔法で倒しちゃって。アイテムや装備はなるべく残すように調節して」
「はいっ」
ネカが杖を取り出して、屍属性魔物に有効な光魔法を放つ。しかしそれは上空に向かっていき、花火のように四散した。
「す、すみません……っ」
「あー、やっぱりまだ緊張するみたいだな?」
「すみません……っ」
「いーよいーよ気にしないで」
シュンは街でそうしたように、再びネカの肩に手を置いて優しく言う。
「落ち着いて。俺がついてるから。しっかり奴らに狙いを定めて、慌てないで」
「はい……っ」
彼に肩を触れられながら、ネカがもう一度スケルトン達に狙いを定める。
先の光魔法の花火によって、スケルトン達は二人に気付いていた。手にした武器を掲げながら向かってきている。
その魔物達に、ネカが再度光魔法を撃ち放った。今度はまっすぐ魔物へと飛んでいき、彼らの肉体だけを消滅させていく。
「や、やりましたっ!」
「うん、やっぱりネカはすげー強いよ」
「あ、ありがとうございますっ!」
「うんうん。じゃあドロップアイテムを回収しよっか」
「はいっ」
二人はアイテムを回収していく。
その後も現れたスケルトンを倒しては、めぼしいアイテムを入手していくのだった。
「おー、ネカのおかげで今日は大量だぜー。サンキューネカ」
「そんな、わたしなんてまだまだ……シュンさんのおかげです」
「なっはっはっ、これらを売った金はちゃんと山分けすっからな」
「ありがとうございますっ」
ほくほく顔のシュンに、ネカもうれしくなるのだった。
……良かった。わたしも誰かの役に立てるんだ。……シュンさんがそばにいてくれると、とても安心する……。
ネカはそう思うのだった。
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