第11話 『他の街に』
夕方。宿屋への帰り道の途中で、シュンがネカに話しかけた。
「ネカ、実は考えてることがあんだけど」
「なんですか?」
「この街を出て、別の街に行こーかなーって。もちろんネカも一緒だけど」
「え?」
ネカは彼を見る。
シュンはひょうひょうとしていた。
「なんか、急ですね……?」
「思い立ったが吉日ってな。まあ、実のところは、あいつら……ネカの元パーティーの奴らがいるところにいたくないと思ってな」
「……!」
ネカは察するところがあった。
「もしかして……わたしのために……? またあの人達がやってきて、わたしが落ち込んだり辛くならないようにするために、ですか……?」
「なはは。ネカは本当に勘が良いな」
彼が笑う。
ネカは申し訳ないような、けれど少しうれしいような、そんな気持ちになる。
「もちろん、ネカが嫌なら移らないけどさ。どうしたい?」
「……他の街に行きましょう」
そう答えてから、ネカは付け加えて言う。
「わたしの本音としては、シュンさんと一緒ならどこでもいいんです。この街でも、他の街でも、シュンさんと一緒なら。やることもあまり変わりませんし」
「クエストやったりダンジョン探索するくらいだからな。俺と一緒がいいなんて、うれしいこと言ってくれるねぇ」
「~~っ」
ネカは思わず顔を逸らしてしまった。顔が熱くなるのが分かった。
彼が言う。
「んじゃそーいうことで。さっそく明日には出発するか」
「……はい。どこに行くかは決めてるんですか?」
「んにゃ、特には。とりあえず近いとこから巡ってみて、居心地の良いとこがあったら、そこを新たな拠点にしよーかなーと。ネカは行きたいとことかあるか?」
「いえ、わたしも特には」
「じゃ、そーいうことで。明日出発だから、今日は早く寝るんだぞ?」
「はい。シュンさんもですよ?」
「分かってるって」
そうして二人は宿屋に戻っていき、翌日、新天地を目指して出発したのだった。
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