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雨音が、やけに近く聞こえる。
屋根に当たる粒の音が、一定のリズムで続いているのに。
その間に落ちる沈黙だけが、妙に重かった。
言葉が、途切れる。
会話は、もう十分続いたはずなのに。
どちらも、終わらせようとしない。
――いや。
終わらせられない、の方が正しいのかもしれない。
神代は、ほんの少しだけ視線を逸らした。
言うべきかどうか、迷っている顔。
らしくない沈黙。
それでも、結局。
「……なんかさ」
一度、言葉を切る。
自分でも可笑しいと思っているみたいに、少しだけ苦笑して。
それから、もう一度こちらを見る。
「変なこと言うけど」
前置きのあとに、また間が落ちる。
雨音だけが、二人の間を埋める。
そして――
「……初めて会った気がしない」
ぽつりと、零す。
少しだけ照れたような、困ったような声音で。
本気なのか、冗談なのか。
そのどちらでもない、曖昧な温度。
でも。
確かに、そこにある感情だけは嘘じゃなかった。




