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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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95/145

95話

広間。


重い空気、玉座の前。

星見姫は静かに立っていた。


『宵星を待っていた』


その言葉のあと誰もすぐには喋らなかった。

やがてレイカが低く聞く。


「……なら聞く」


「どうすればいい」


「何をすれば、繋がらない」


真っ直ぐな声。

姫は静かにこちらを見る。

そして。


『……完全に止める方法は無い」


最悪の答えだった。

ユイが顔を強張らせる。


「え……」


姫は続ける。


『世界は、一度近づくと』


『完全に切り離すむことは出来ない』


『歪みが残る』


静かな説明だが重い。

相棒が低く呟く。


「『向こうでも聞いたことがあるの』」


「『境界崩壊』」


葵も顔をしかめる。


「『マジで起きるんだな……』」


姫はゆっくり頷く。


『だが』


『遅らせる事は出来る』


空気が少し変わる。

俺が聞く。


「方法は」


姫は広間の奥を見る。

巨大な門。


黒い紋章。


『深層側の核』


『それを抑え続けること』


「核?」


ユイが聞き返す。

シエルが静かに言う。


「『向こうの魔力源』」


「『深層側は、巨大な核で繋がってる』」


姫が頷く。


『本来は、我が抑えていた』


『だが限界だ』


彼女の身体の周囲にノイズが走る。

一瞬、輪郭が揺らぐ。


レイカが目を細める。


「……もう長くないのか」


『い』


静かな肯定。


『数百年も保った方だ』


軽く言う。

だが、その重みは異常だった。


葵が頭を掻く。


「『つまり』」


「『代わりが必要ってことか』」


姫は少しだけ沈黙する。

そして。


『本来ならそうだ』


その瞬間、空気が変わる。

ユイが息を呑む。


「え……」


相棒の目も細くなる。


「『……お主』」


姫は静かに笑う。


『だが、我はそれを望まぬ』


その言葉に、少しだけ空気が揺れる。


『誰かを、再び門に縛る気は無い』


静かな声、長い時間。

一人で耐えてきたからこその言葉。


シエルが小さく俯く。


「『……優しい』」


姫はシエルを見る。

少しだけ微笑む。


『エルフの娘よ』


『昔と変わらんな』


そのまま姫は再び宵星を見る。


『故に』


『別の方法を探す必要がある』


俺が聞く。


「あるのか」


少し間。


『……可能性はある』


広間が静まり返る。


『深層側の核を一時的に封じる』


『それなら繋がりを遅らせる』


レイカが腕を組む。


「難易度は」


姫が静かに答える。


『……神代級』


葵が即座に言う。


「はい無理」


「早いの」


相棒が呆れる。

だが姫は小さく首を振る。


『宵星な、可能性はある』


その一言、ユイが宵星の四人を見る。

何百年も戦い続けた存在。


世界を渡った者たち。

そして今また世界を守るための話をしている。


レイカが静かに聞く。


「……やるのか」


少し間、俺は黒い門を見る。

その奥から漏れる、異世界の魔力。


懐かしくて嫌な感覚。

そして静かな日本の日常を思い出す。


平和な家、コンビニ。

だらけた時間。


守りたいもの。


「……やるしかないだろ」


短く言う、相棒も笑う。


「『今さらじゃ』」


葵が肩をすくめる。


「『また世界救済かぁ』」


シエルも小さく頷く。


「『……頑張る』」


その姿を見て星見姫は、ほんの少しだけ安心したように笑った。

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