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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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91/148

91話

翌日、朝。


空は曇っていた。

ダンジョン前、規制線。


管理局の人員も前回より増えている。

空気が重い。


「来たか」


レイカが腕を組んだまま言う。


「ああ」


ユイも装備を整えていた。

少し緊張している。


「……今日は前より嫌な感じします」


「正しい感覚だ」


葵が言う。


「多分、危険度上がってる」


シエルも入口を見る。


「『濃くなってる』」


「『昨日より向こう寄りじゃ』」


相棒が静かに言う。

俺はゲートを見る。


黒い揺らぎ。

昨日より不安定だ。


レイカが真剣な顔で言う。


「目的を確認する」


「深追いしない」


「異常確認優先」


「危険なら即撤退」


全員頷く。

そして一行は再び中へ入った。


内部、瞬間。

空気が変わる。


昨日より重い。

ユイが顔をしかめる。


「……息苦しい」


「魔力濃度が上がってる」


俺が即座に言う。

周囲を見る、壁、通路。

全部が昨日より向こうに近い。


「『成長してる』」


葵が低く言う。


「ダンジョン自体が変質してる」


レイカが槍を握る。


「そんなことがあるのか」


「向こうではあった」


相棒が答える。


「『深層側に侵食されるとこうなる』」


その時――カツン。


音、全員止まる。

足音。


奥から、一つ一つ。

ゆっくり近づいてくる。


ユイが息を呑む。


「……人?」


「違う」


俺は即答する。

そして暗闇の奥から現れた。


人型。

昨日の個体に似ている。

だが違う。


もっと形が安定している。

黒い外殻、赤い瞳。

そして腰には剣。


「……武器持ってるぞ」


レイカの声が低くなる。

その個体がこちらを見る。

口が動く。


『……何故、戻った』


異世界の言葉。

明確な意思。


ユイが完全に固まる。


「しゃ、喋った……」


シエルが前を見る。


「『お前ら何者』」


問いかける。

個体は少し沈黙したあと。


『……思いら出せないら』


空気が止まる。

葵の顔から笑みが消える。


「『……マジか』」


その声その喋り方。

完全な魔物じゃない。


レイカが低く聞く。


「何て言った」


俺が短く答える。


「……自分が何者か覚えてないらしい」


「は?」


理解が追いつかない。

その時個体がまた口を開く。


『帰れ』


『ここは壊れてる』


空気がさらに重くなる。

相棒が目を細める。


「『壊れている?』」


『境界が崩れてる』


その瞬間。

ダンジョン全体が揺れる。


轟音壁が脈打つ。

ユイが声を上げる。


「な、何!?」


そして空間が裂ける。

通路の奥.黒い亀裂。


そこから漏れる魔力。


――異世界の魔力。

シエルの顔が青ざめる。


「『……深層側』」


葵が舌打ちする。


「『最悪だ』」


レイカが槍を構える。


「説明しろ」


今までで一番鋭い声。

だがその前に亀裂の奥から、何かがこちらを見ていた。

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