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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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90/145

90話

夜。家の中。

明日、再びダンジョンへ入る。


だが今は静かだった。

リビング。

テレビはついているが、誰も真面目には見ていない。


葵はソファで寝転がってゲーム。

シエルは日本語の本。


相棒は紅茶を飲んでいる。

俺は窓際に立って外を見ていた。


住宅街、静かな夜平和だ。

だからこそあのダンジョンが異質すぎる。


「……考えてる?」


相棒が聞く。


「ああ」


短く返す。


「まあ、そうなるよね」


葵もゲームをしながら言う。


「向こうの匂いしかしないし」


シエルが本から顔を上げる。


「『怖い?』」


静かな声。

少し間。


「……少しな」


正直に答える。

相棒がこちらを見る。


「珍しいの」


「嫌な予感がする」


「『分かる』」


葵がゲームを止める。


「なんつーか」


「嫌な方向に懐かしい」


「それ」


相棒も頷く、誰も油断していない。

異世界で長く生きた感覚。

あのダンジョンは危険だ。


直感で分かる。

その時、シエルがこちらへ寄ってくる。

そして自然に隣へ座る。


「……大丈夫」


「ん?」


「……一緒に居る」


短い言葉だが、真っ直ぐだった。

相棒が少し笑う。


「昔から変わらんの」


「シエルは心配性じゃ」


「……心配する」


「知ってる」


頭を軽く撫でる。

シエルが少し目を細める。


その横で葵がぼそっと言う。


「……向こうでもさ」


「出発前ってこんな感じだったな」


静かな声。


「飯食って」


「雑談して」


「でも皆ちょっと緊張してて」


空気が少し静かになる。

相棒が懐かしそうに言う。


「『生きて帰れるか分からんかったからの』」


「『毎回最後かもしれんかった』」


シエルも小さく頷く。


「『……うん』」


少し間だが葵が突然笑う。


「でも今の方がマシ」


「風呂あるし」


「布団あるし」


「コンビニあるし」


「そればっかだな」


俺が呆れる。


「重要だろ!」


即答。

相棒が苦笑する。


「『平和ボケしとる』」


「『良いことだろ』」


シエルも頷く。


「『アイス、美味しい』」


「お前も染まってるな」


「『日本は良い国』」


真顔。

少し笑いが起きる。

その空気で、少しだけ緊張が薄れる。


俺はソファへ座る。


「……明日は慎重に行く」


「ああ」


葵が頷く。


「無理はしない」


「『逃げる時は逃げる』」


相棒も真面目な声で言う。


「『今回は相手が分からん』」


シエルも小さく言う。


「『……嫌な予感する』」


静かな夜、平和な家。

安心できる場所だからこそ守りたいと思う。


この日常をもう失いたくないと四人とも、同じことを考えていた。

もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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