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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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85/146

85話

翌日。


朝。


新しく発生したダンジョン前には、すでに人が集まっていた。


管理局。ギルド所属冒険者。


規制線。

慌ただしい空気。


場所は横浜寄りの沿岸部。

周囲にはまだ一般人も多い。


「……騒がしいの」


相棒が小さく呟く。


「発生直後だからな」


レイカが答える。

その横で、ユイが少し緊張した様子で周囲を見る。


「管理局、かなり本気ですね」


実際、多い。

武装した人員までいる。


だが、四人が気にしているのはそこじゃない。


「『濃い』」


葵が異世界の言葉で呟く。


「『空気が向こう寄りだ』」


シエルも静かに頷く。


「『……嫌な感覚』」


俺も入口を見る。

黒い裂け目のようなゲート。


普通のダンジョンより、魔力が不安定だ。

揺れている。


「……行くぞ」


短く言う。

レイカも槍を持つ。


「ああ」


そのまま、一行は中へ入った。


内部。瞬間。

空気が変わる。


重い、湿った魔力。

肌にまとわりつく感覚。


ユイが顔をしかめる。


「……なんですか、これ」


「普通じゃないな」


レイカも即答する。

周囲は石造り。


だが、日本のダンジョンでよく見る構造とは違う。


もっと古い、もっと向こうに近い。

シエルが壁に触れる。


「『これ……』」


「『知ってるか』」


「『似てる』」


葵も周囲を見る。


「『建築様式が向こう寄りだな』」


レイカとユイは言葉が分からない。

だが四人の空気で察する。


「……何かあるんだな」


レイカが言う。


「ああ」


俺は短く答える。


「かなりな」


その時――ザッ。


気配。


「来るぞ」


レイカが前へ。

直後。暗闇からモンスターが現れる。


だが、全員、一瞬止まる。


「……人型?」


ユイが呟く。

黒い外殻。


細い体、だが、目だけが赤い。

そして、口が動く。


『――■■■』


異世界の言葉。

掠れた声。


シエルの目が見開く。


「『今、喋った』」


葵も顔をしかめる。


「『……マジかよ』」


レイカが即座に槍を構える。


「何を言った」


「……分からん」


俺が答える。


「だが」


「向こうの言葉だ」


その瞬間、モンスターが動く。


速い。


「散れ!」


レイカが叫ぶ。

戦闘開始。

だが今までと違う。


敵から感じる魔力。


構え、動き。

全部が、異世界に近い。


「『右任せる!』」


「『了解!』」


葵が錬成。

空中に刃を生成。


射出。


シエルが風魔法を重ねる。

相棒が前へ踏み込む。


一閃だが敵が避ける。


「『避けた!?』」


普通のモンスターじゃない。

理解して動いている。


俺は即座に魔法陣を展開。


雷撃、直撃。

敵が吹き飛ぶ。


その隙にレイカが槍で貫く。


撃破沈黙。

だが誰も安心していない。


ユイが小さく言う。


「……今の」


「普通じゃなかったですよね」


「ああ」


レイカも真剣な顔。


「知能があった」


そしてシエルが静かに呟く。


「『……嫌な予感する』」


葵も頷く。


「『これ、下手すると』」


「『向こうと繋がってるぞ』」


空気が凍る。

日本に現れた新ダンジョン。

だが、それはただのダンジョンではないかもしれなかった。

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