31話
次の日の朝。
目を覚ますと、見慣れない光景だった。
ソファにユイが寝ている。その横、床に敷いた簡易の布団でレイカが寝ていた。
……昨日の流れで、そのまま泊まることになった。
特に問題もなく、全員普通に寝た。
相棒はいつも通り、同じ布団で寝ていたが。
「……起きておるか」
「今起きた」
相棒が隣で体を起こす。
そのまま軽く伸びをする。
「朝じゃの」
「だな」
しばらくすると、ユイがもぞっと動いた。
「ん……」
目をこすりながら起き上がる。
「……あ、おはようございます」
「おはよう」
少し遅れて、レイカも目を開けた。
起きる動作に無駄がない。
「朝か」
そのまま座り直す。
「悪くない寝床だった」
「それはよかった」
軽く朝の支度を済ませる。
特に変わったことはない。
ユイがキッチンを見て言う。
「なんか手伝います?」
「別にいい」
「じゃあ座ってます」
そのまま四人で軽く朝を過ごす。
時間はゆっくり流れる。
だが。
「さて」
レイカが立ち上がった。
「そろそろ行くか」
「行く?」
ユイが聞く。
「ギルドだ」
レイカは当たり前のように言った。
「この二人、連れていく」
ユイが少し驚く。
「え、いいんですか?」
「問題ない」
「見せておいた方がいい」
そしてこちらを見る。
「来るか?」
断る理由は特にない。
「いいぞ」
「うむ」
相棒も頷く。
ユイは少し嬉しそうだ。
「じゃあ一緒に行きましょう」
外に出る。朝の空気は少し冷たい。
四人で並んで歩く。
数分後。
一つの建物の前で止まった。
そこそこ大きい。出入りしている人間も多い。
「ここだ」
「へぇ……」
ユイが少し誇らしげに言う。
「私もここ所属なんです」
「そうか」
中に入る。中は広く、いくつかの机と掲示板がある。
冒険者たちが集まって、依頼の話や情報交換をしている。
空気はダンジョンと少し似ている。だが、戦闘ではなく日常の延長だ。
「レイカさん」
近くにいた冒険者が声をかける。
「おはようございます」
「ああ」
軽く返す。視線がこちらに集まる。
「誰だ?」
「新人か?」
そんな声が小さく聞こえる。
レイカは気にしない。
「気にするな」
そう言って奥へ進む。
ユイが小声で言う。
「結構見られますね」
「気にするな」
相棒が普通に言う。そのまま奥の部屋へ入る。
少し静かな空間。
レイカが振り返る。
「ここが本部だ」
「といっても大したものじゃないが」
椅子に腰を下ろす。自然な動き。
ここが自分の場所だと分かる。
「改めて言っておく」
レイカがこちらを見る。
「ここはギルドだ」
「冒険者が集まって、情報を共有して、必要なら協力する場所」
「いくつもあるが」
「うちはその中でも上位の一つだ」
ユイが小さく頷く。
「レイカさんがトップです」
「一応な」
レイカは軽く言う。それから俺たちを見る。
「昨日も言ったが」
「改めて聞く」
「うちに入る気はあるか?」
静かな問いだった。だが、圧はある。
相棒がちらっと俺を見る。
俺は少し考える。
そして答えた。
「今のところはない」
レイカは少しだけ笑った。
「やっぱりな」
「だが」
指を軽く机に叩く。
「拒否されるとは思っていた」
「それでも聞く価値はある」
そして続ける。
「無理に入れようとは思わない」
「だが」
「ここを拠点として使うくらいなら構わない」
ユイが少し驚く。
「え、それって……」
「準メンバーみたいなものだ」
「情報もある程度共有する」
「その代わり、危ない時は手を貸せ」
シンプルな条件だった。
相棒が言う。
「悪くないの」
俺も頷く。
「それならいい」
レイカは満足そうに笑った。
「交渉成立だな」
そして立ち上がる。
「じゃあ、まずは軽く紹介しておくか」
扉の方へ向かう。
「お前たち」
「少しは目立つぞ」
その言い方は、少し楽しそうだった。
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