26話
その日の夜。
部屋の灯りはもう消えている。
布団は一つ。昔から変わらない配置だ。
俺は仰向けで寝ていた。
隣では相棒が静かに寝ている。
窓の外は静かで、街の遠い音だけが聞こえていた。
しばらくして。
「……ん」
小さな声。
相棒が少し動いた。
布団の中で体を丸める。
「……寒い」
ぼそっと呟く。
今日は少し冷える。エアコンは切っている。
数秒。
相棒が少しこちらに寄ってきた。
布団の中で肩が触れる。
そして
ぎゅっ。
腕にしがみつく。
「……」
俺は目を開けた。
「寒いのか」
「……うむ」
相棒は目を閉じたまま答える。
そしてそのままさらに近づいてきた。
体をぴったり寄せる。完全に抱きついている状態だ。
「これでよい」
「そうか」
昔からこうだ。寒い日はよくこうなる。
相棒はそのまま小さく息を吐く。
「主」
「なんだ」
「今日のユイ」
「ああ」
「面白い奴じゃな」
「まあな」
少し沈黙。相棒がぼそっと言う。
「警戒しておらぬ」
「そうだな」
「珍しい」
確かに。普通の人間は、俺たちを見れば何かしら警戒する。
だがユイは違う。
純粋に興味を持っているだけだ。
相棒が小さく笑う。
「主」
「なんだ」
「友達かもしれぬ」
少しだけ間。
俺は答えた。
「そうかもな」
相棒は満足そうに「うむ」と言った。
そしてさらにぎゅっと抱きついてくる。
「暖かい」
「それは良かった」
「主」
「なんだ」
「動くな」
「分かった」
相棒はそのまま静かに眠り始めた。
呼吸がゆっくりになる。
完全に寝たらしい。
腕に抱きついたまま。
俺は天井を見ながら小さく息を吐いた。
昔から変わらない。異世界でも、こっちの世界でも。
相棒はだいたいこうだ。
寒いと寄ってくる、安心すると寝る。
そして大体この体勢のまま朝になる。
窓の外では、夜風が少し強くなっていた。
その音を聞きながら、俺もゆっくり目を閉じた。
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