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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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19話

カクヨムより少し遅れて更新してるので追いつきたいです。

ダンジョンの通路を三人で進む。

戦闘の合間に、ユイが何度かこちらをちらちら見てくるのが分かる。


言いたいことがある顔だ。少し歩いたところで、小さな部屋のような空間に出た。

魔物の気配はない。


ユイがそこで立ち止まる。


「……あの」


「ん?」


「ちょっと聞いていいですか?」


俺は肩をすくめた。


「別にいいけど」


ユイは少し迷ってから言う。


「二人って……昔どこで戦ってたんですか?」


やっぱりそこか。

相棒が横でくすっと笑う。


「どうしてそう思う?」


ユイは腕を組んで少し考える。


「戦い方が、普通の冒険者と違うんです」


「違う?」


「はい」


ユイは真面目な顔で続けた。


「昨日の異常個体もそうですけど、二人とも全然焦ってなかったじゃないですか」


まあ、焦る理由は特になかった。


「あと、動きが変なんです」


「変?」


「良い意味でです!」


慌てて言い直す。


「なんていうか……慣れすぎてる感じというか」


相棒が軽く肩をすくめる。


「長く戦っておるからの」


「それです」


ユイが頷く。


「でも、そんなに強い人なら普通ギルドとかで有名になってるはずじゃないですか」


「有名にはなってないな」


「ですよね」


ユイは少し不思議そうにする。


「どこかの地方の冒険者とかですか?」


俺は少し考えてから答える。


「まあ、そんな感じ」


完全に嘘でもない。

ユイはまだ納得していない顔だ。


「でも、刀の使い方とかすごいです」


相棒を見る。


「和風の流派って聞いたことないです」


「主が勝手に覚えただけじゃ」


「そんなわけないじゃないですか」


ユイが笑う。そして少しだけ声を落とす。


「二人って……結構年上だったりします?」


「どういう意味だ」


「なんていうか」


言葉を探す。


「経験がすごく長そうっていうか」


相棒がちらっとこちらを見る。

少しだけ面白そうな顔をしている。


「主はどう思う?」


「適当にごまかしとけ」


「冷たいのう」


ユイが首を傾げる。


「二人って昔から一緒なんですか?」


「まあな」


「どこで会ったんです?」


これは普通に答えても問題ない。


「遠い場所」


「遠い場所?」


「山の中」


嘘ではない。ユイは「へぇ」と頷く。


「そこで一緒に戦うようになったんですか?」


「そんな感じ」


ユイは少し笑った。


「なんか、いいですね」


「何が?」


「長い付き合いって感じで」


相棒が小さく笑う。


「まあ長いの」


「どれくらいなんですか?」


ユイが聞く。俺は少し考える。

正直に言うとおかしくなる。


「……かなり」


「かなりって」


「想像より長い」


ユイは困ったように笑う。


「全然分からないです」


その時、通路の奥から魔物の足音が聞こえてきた。


オークが二体。


「来たな」


「私やります!」


ユイが前に出る。

剣を抜く。


一体目。斬る。


二体目。


「ウィンドカッター!」


風の刃が飛ぶ。オークの肩を裂く。

戦闘が終わる。


ユイが息を整える。


「……やっぱり強いですね」


「お前もな」


「まだまだです」


ユイは笑う。そして少しだけ真面目な顔で言った。


「でも、いつか聞かせてください」


「何を」


「二人の昔の話」


俺は少しだけ空を見る。

ダンジョンの天井だけど。


「気が向いたらな」


ユイは頷いた。


「はい」


まだ全部は話さない。

でもいつか話す日が来るのかもしれない。

三人でまた通路を進み始めた。

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