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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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117/171

117話

休日の昼。

珍しく全員予定が空いていた。

ダンジョンもない。

管理局からの呼び出しもない。

レイカからの連絡もない。


本当に平和な日だった。

そんな中、冷蔵庫を開けた相棒が一言。


「食料が少ないの」


その言葉で全員が冷蔵庫を見る。

確かに少ない。


飲み物はある、調味料もある。

だが肝心の食材が少なかった。


葵がソファで寝転びながら言う。


「また買いに行くか」


「そうじゃな」


相棒も頷く。

シエルは少し考え。


「買い物」


と言った。

どうやら行く気らしい。

そして何故かユイもいた。


最近は普通に家へ遊びに来るようになっている。


「私も行っていいですか?」


「別に構わないぞ」


「やった」


こうして5人で買い物へ行くことになった。



大型ショッピングモール。

休日ということもあり人が多い。


家族連れ、学生、カップル。

様々な人が歩いている。


ユイが周囲を見回す。


「結構人いますね」


「休日じゃからな」


相棒が答える。

するとシエルがきょろきょろしていた。


日本に来てからかなり経つ。

それでも大型商業施設はまだ面白いらしい。


「広い」


「広いな」


「城みたい」


その感想に葵が吹き出す。


「確かに異世界基準だとそうかもな」


異世界の都市でもここまで店が集まっている場所は少なかった。

しかも平和だ。


モンスターも出ない。

盗賊もいない。

襲撃もない。

最高である。


シエルは本気で気に入っていた。



まず向かったのは食品売り場。

夕飯の材料を買うためだ。


相棒は真面目に献立を考えている。


「今日は肉じゃな」


「最近肉多くないか」


「好きじゃからな」


即答だった。

葵も頷く。


「分かる」


シエルも頷く。


「肉」


全員肉派だった。

結果、大量の肉がカゴへ入っていく。


ユイが苦笑する。


「野菜も食べましょうよ」


「ちゃんと買うぞ」


俺はそう言って野菜を入れる。

するとシエルが横から覗く。


「景斗」


「ん?」


「これ安い」


指差したのは特売の野菜だった。

最近は値段も読めるようになっている。


「よく分かったな」


「勉強した」


少し誇らしげだった。

相棒が笑う。


「日本人になってきたの」


「まだエルフ」


「そうじゃったな」


そんな会話をしながら買い物は進む。



その後、日用品売り場、文房具売り場。

本屋を見て回る。


シエルは本屋で足を止めた。

日本語の勉強用の本。漫画、小説。

真剣に見ている。


「欲しいのあるか?」


聞くとシエルは少し悩む。

そして一冊の小説を持ち上げた。


「これ」


「読めるのか?」


「半分くらい」


十分凄い。

相棒も感心していた。


「覚えるのが早いの」


「レベル高いからな」


葵が適当に言う。

実際そうなのだろう。


異世界では高レベル者ほど学習能力も高かった。

シエルも例外ではない。



休憩スペース。

買い物も一通り終わり飲み物を飲みながら休んでいた。


ユイは少し楽しそうだった。


「なんか普通ですね」


「何がだ」


「皆さん」


俺達を見る。


「もっと伝説の英雄みたいな感じかと思ってました」


その言葉で葵が吹き出した。


「何だよ伝説の英雄って」


「実際そうじゃろ」


相棒が笑う。


「数百年戦って世界を救ったんだぞ」


「言い方が大袈裟なんだよ」


「事実じゃ」


否定できなかった。

シエルはジュースを飲みながら首を傾げる。


「英雄?」


「うむ」


「違う」


「何故じゃ」


シエルは少し考え。

そして。


「家族」


そう言った。

一瞬静かになる。


ユイが少し目を丸くする。

葵が笑った。


「まぁ確かにな」


相棒も頷く。


「今さらじゃしの」


俺も苦笑する。

長い時間を共に過ごした。

仲間というよりもう家族に近い。


シエルは満足したようにジュースを飲む。

そして。


「次」


「ん?」


「アイス」


真面目な顔で言った。

どうやら忘れていなかったらしい。


葵が立ち上がる。


「よし行くか」


「賛成じゃ」


相棒も乗る。

結局、買い物の最後はアイス選びになった。

世界を救った元勇者一行。

異世界最強クラスの魔法使い達。


伝説級の探索者達。

そんな連中が真剣にアイス売り場で悩んでいる光景は多分誰にも想像できないだろう。


もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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