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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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108/166

108話

昼、家のリビング。


レイカとユイも上がり込み、テーブルを囲んでいた。

シエルは本を読んでいる。


ただし読んでいるのは日本語の本だ。

数ヶ月前なら考えられなかった。


ユイがそれを見て驚いている。


「シエルさん、本当に覚えるの早いですね……」


シエルが顔を上げる。


「まだ、難シイ」


「それで難しいなら私より上です……」


ユイが少し落ち込む。

葵が笑う。


「レベル差だな」


「ゲームじゃないんですから」


そんなやり取りをしながらも話題は自然と昨日へ移る。

レイカが真面目な顔になる。


「昨日の奴」


「ガルドだったか」


「ああ」


「仲間だったんだな」


少し間俺は頷く。


「かなり長い付き合いだった」


ユイが静かに聞く。


「どれくらいですか?」


リビングが少し静かになる。

相棒が苦笑した。


「数百年じゃな」


反射的に異世界の言葉。

レイカとユイが固まる。


「あ」


相棒が日本語へ切り替える。


「数百年だ」


「……は?」


レイカが真顔になる。


「いや待て」


「数百年?」


葵が普通に答える。


「うん」


「三百年くらいじゃない?」


「途中から数えてない」


ユイが完全に思考停止した。


「三百年……?」


「向こう時間だがの」


相棒が補足する。


「それでも長すぎません!?」


「長かったな」


俺も認める。

異世界、魔王軍との戦争。

各国を巡る旅。


古代遺跡、深層攻略。

色々あった。


シエルが小さく呟く。


「『本当に長かった』」


懐かしそうな声。

葵も頷く。


「『景斗と相棒は昔より落ち着いた』」


「『それは思う』」


レイカが額を押さえる。


「また分からない言葉で盛り上がるな」


「ああ、悪い」


俺が苦笑する。

するとユイが少し考え込む。


「……でも」


「何だ」


「少し羨ましいです」


全員が見る。

ユイは少し照れながら言う。


「そんなに長く一緒にいた仲間がいるって」


静かな言葉。

リビングが少しだけ静かになる。


そして葵が吹き出した。


「仲間というか家族みたいなもんだろ」


「『今さらじゃな』」


相棒も笑う。

シエルも頷く。


「家族」


片言の日本語。

だが意味は十分伝わった。


レイカがその様子を見て小さく笑う。


「なるほどな」


「だからお前ら、あんな無茶をするのか」


「見捨てる選択肢が無いからな」


俺が答える。

レイカは納得したように頷いた。


その時ユイのスマホが鳴る。


通知。

確認したユイの表情が変わる。


「……え?」


「どうした」


レイカが聞く。

ユイは画面を見たまま答える。


「管理局の速報です」


「昨日閉じたはずのダンジョン」


空気が変わる。


「反応が出てます」


全員が立ち上がった。

静かな日常はどうやら、まだ終わらないらしかった。

もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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