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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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104/159

104話

黒い空が揺れる。

深層側全体が震えていた。


俺は楔へ魔力を流し込み続ける。

巨大結晶。


そこへ広がる封印陣。

光。異世界式。


そして神代術式の簡易再現。

空間が軋む。


成功しかけている。

だが代わりに背後の戦闘は、さらに激しくなっていた。


『■■■■■――!!』


巨大な怪物の咆哮。

黒い衝撃波。


大地が割れる。

その中心、ガルドが戦っていた。

一人で剣一本で昔と同じように。


「っ……!」


俺は歯を食いしばる。

楔が暴れる。


深層側が抵抗している。

簡単には閉じない。

その時ガルドが吹き飛ばされる。


轟音。

黒い岩壁へ叩きつけられる。


「ガルド!」


叫ぶ。

だが男は立ち上がる。


ボロボロの身体。

片腕は既に侵食されて黒く染まっていた。


それでも剣を握っている。


「『……集中しろ』」


低い声。


「『失敗すれば、全部終わる』」


その通りだった。

俺は再び封印へ集中する。


結晶の亀裂が広がる。

あと少しあと少しで閉じる。


だが巨大な怪物が、こちらへ向きを変える。


赤い瞳。

狙いは俺。


封印を止める気だ。

怪物が動く。


その瞬間、ガルドが前へ飛び込む。


「『行かせない』」


剣が振り下ろされる。

黒い閃光。


怪物の腕が裂ける。

だが反撃。


巨大な尾がガルドを直撃する。

嫌な音。


身体が吹き飛ぶ、血。

黒い地面へ転がる。


「……っ!」


魔力が大きく揺らぐ。

まずい。


本当に限界だ。

だがガルドは、また立ち上がる。


ふらつきながら。

剣を支えに。


「『……昔から』」


小さく笑う。


「『お前は、後衛の癖に前出過ぎだ』」


昔、よく言われた言葉。

少しだけ記憶が蘇る。


戦場、焚き火、仲間。

くだらない会話。


そして数百年の戦い。


「……お前こそ」


「一人で抱えすぎだ」


「『性分だ』」


ガルドが笑う。

その瞬間。、怪物が咆哮。


黒い魔力砲撃。

直撃コース。


避けられない。

だがガルドが前へ出る。


「やめろ!!」


叫ぶ、間に合わない。

轟音。


黒い光がガルドを飲み込む。

空間が揺れる、静寂。


そして光の中から、男の声が聞こえた。


「『……終わらせろ』」


最後の声。

次の瞬間。


ガルドの魔力が爆発する。

凄まじい黒い斬撃。


怪物ごと空間を切り裂く。

轟音、赤い空が割れる。


そして巨大な怪物が崩れ落ちた。

同時に封印陣が完成する。


結晶へ四本の楔が刺さる。

光、巨大な門が閉じ始める。


深層側が崩れる。

空間が壊れていく。


だが。


「……ガルド!」


叫ぶ、返事はない。

黒い光の中。


男は立ったまま静かに笑っていた。

昔と同じように仲間を逃がす時の顔で。

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