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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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103/156

103話

深層側。

黒い大地を駆ける。


背後では轟音が響いていた。

ガルドが戦っている。

一人で大量の深層存在を押し止めながら。

昔と同じ背中。


だが。


「……っ」


長くは持たない。

分かっていた。


俺は前を見る。

巨大な黒い結晶、核。

近づくほど、魔力濃度が上がっていく。


空間が歪む。

視界すら揺れる。


その時。


『■■■■』


気配、横。

黒い影が飛び出してくる。


速い。

だが。


「邪魔だ」


雷撃。

瞬間展開。


直撃。


黒い存在が吹き飛ぶ。

止まらず走る。


結晶はすぐ目の前。

巨大、山みたいなサイズ。


そして中心に、亀裂が見えた。


「……これか」


姫の言っていた核。

異世界と日本。


境界の歪み。

その時、結晶が脈打つ。


ドクン。


嫌な感覚。

そして頭に声が響く。


「『帰れ』」


「『深層は終わらない』」


「『何度でも繋がる』」


精神干渉。

だが聞き慣れている。


「知ってる」


俺は結晶へ手を伸ばす。

魔法陣展開。


異世界式封印。

そして葵が作った楔を取り出す。


「……持ってくれよ」


楔を突き刺す。

瞬間。


轟音。


結晶全体に光が走る。

空間が震える。


成功しかけている。

だが。


『■■■■■――!!』


咆哮。

巨大な黒い腕が結晶の裏から現れる。


今までよりデカい。

完全な怪物。


赤い瞳がこちらを見た。

その瞬間、本能が警告する。


死ぬ。

今までで一番危険だった。


黒い腕が振り下ろされる。

避ける。


地面が消し飛ぶ。

余波だけで吹き飛ばされる。


「っ……!」


立て直す。

だが二撃目が来る。


速い。


間に合わない。

その瞬間。


――斬撃。


黒い腕が弾かれる。

轟音。


「……ガルド」


黒い鎧の男が立っていた。

全身ボロボロ。


鎧は砕け。

魔力も乱れている。

だがまだ立っていた。


「『間に合ったか』」


「お前……」


「『封印を続けろ』」


短く言う。

背後では、さらに大量の瞳が近づいていた。


時間がない。

俺は歯を食いしばる。


楔へ魔力を流し込む。

光、結晶へ亀裂が広がる。


封印が始まる。

だが巨大な怪物が咆哮する。


空間そのものが揺れる。

ガルドが剣を構える。


「『……景斗』」


「ああ」


「『最後まで失敗するなよ』」


その声、覚悟を決めた声だった。

そしてガルドが、巨大な怪物へ突っ込む。


黒い魔力が爆発する。

斬撃、轟音。


深層側全体が揺れた。

俺は封印を続ける。


だが背後でガルドの魔力が、急激に弱くなっていくのを感じていた。

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