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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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100/148

100話

「……俺が行く」


静かな声。

だが広間の空気は止まった。


「は?」


最初に反応したのは葵だった。


「『いや待て待て待て』」


「『それ絶対ろくな事にならん』」


相棒も眉をひそめる。


「『危険すぎる』」


シエルは露骨に不安そうだった。


「『……やだ』」


短い言葉。

珍しく強い声。


レイカも真剣な顔をする。


「他に方法はないのか」


姫は静かに首を横へ振った。


『核へ直接触れねば」


『完全封鎖は不可能』


最悪だった。

ユイが青い顔で聞く。


「……戻ってこれるんですか」


静寂。

姫は少しだけ目を伏せる。


『……分からぬ』


「はぁ!?」


葵が叫ぶ。


「『却下!!』」


「『そんなもん行かせられるか!』」


空気が荒れる。

だが門は待ってくれない。


黒い巨体がさらに這い出てくる。

広間が軋む。


相棒が舌打ちする。


「『時間がないの』」


俺は門を見る。

向こう側、深層。


何百年もいた世界。

嫌というほど知っている。

だから分かる。


今ここで止めないと、本当にまずい。


「……今なら、まだ押さえ込める」


静かな声。


「完全に繋がったら終わる」


レイカが低く聞く。


「勝算は」


「五分」


「低いな」


「高い方だ」


即答。

レイカが苦笑する。

だが否定はしない。


その時、シエルがこちらの服を掴む。


「『……帰ってくる?』」


真っ直ぐな瞳。

昔から変わらない。

不安そうな顔。


少し間、俺は頭を軽く撫でる。


「帰る」


「『本当?』」


「ああ」


相棒が静かに息を吐く。


「『……仕方ないの』」


諦めたような声。


「『じゃが、一人では行かせん』」


葵も頷く。


「『当然』」


「『付き合うぞ』」


「お前ら」


「『今さら何言ってんだ』」


葵が呆れたように言う。


「『何百年一緒に戦ったと思ってんの』」


シエルも小さく頷く。


「『一緒に行く』」


レイカとユイは言葉を失っていた。

数百年、共に戦い続けた仲間。


その重みが、少しだけ分かる。

レイカが小さく笑う。


「……本当におかしい奴らだな」


「よく言われる」


その時、姫が静かに言った。


『……三人モ行ケバ』


『帰還は更に不安定になる』


空気が止まる、葵が真顔になる。


「『は?』」


『門は不完全だ』


『通過人数が増える程、崩壊確率が上がる』


最悪だった。

沈黙。


そして相棒が静かに言う。


「『ならお主じゃ』」


「『お主が一番適任じゃからの』」


シエルが俯く。


「『……やだ』」


小さな声。

だが震えていた。


俺は門を見る。


黒い空間、向こう側。

また戻ることになるかもしれない場所。


その時、黒い巨体が咆哮する。


空間が揺れる。

限界が近い。


葵が舌打ちする。


「『時間切れだ』」


姫が魔法陣を展開する。


『楔の準備は出来た』


『後は……決断だ』


静寂、門の前。

宵星、世界の境界。


そして再び、向こう側へ踏み込むかもしれない選択が迫っていた。

もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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