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異世界転生したら敵が強すぎる件  作者: 歌を忘れたカナリア
6章

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61話 目覚め

「ん・・・」

背後から声がした。

振り返るとリリアが呻き声をあげながら目を覚ましていた。

「リリア!」

駆け寄りリリアを支える。

「大丈夫か?」

「・・・ハル、ト?」

「あぁ、そうだ。ハルトだ。気分はどうだ?」

「悪くはないけど、よくもないかな。あと首が痛い・・・」

リリアは首筋を擦るような仕草をする。

まぁ、メルティの手刀を食らったんだから痛いに決まってる。

「え、なにこれ・・・」

辺りの地面に染みついている血にリリアが気づく。

「これは・・・その、人間だったものだ」

「え?」

「私がバラバラにしちゃった」

メルティは笑顔でリリアに言う。

リリアはビクッと体を強張らせ少し後退りする。

「まぁ、取り敢えず進もう。今こうしてるうちにも代行者の目があるかもしれない」

「そう、だね・・・」

俺たち3人はひとまず巨大樹を目指して歩き出した。

リリアが起きてくれてよかった。これで心配事が一つ消化されたな。

それとあの女、俺と同等の実力者だった。

それをメルティは一瞬で虫を殺すような感覚で殺した。

つまり俺も戦ったらそうなることを意味している。

ますます力の差を思い知らされた。

守るとかかっこつけてたけど当分の間守られるのは俺、か。

せめてリリアは守れるようにならないとな。

今日みたいなメルティ不在の時に敵襲が来た時のためにも。

「リリア、今度はハル君の指斬らないでよね」

「え?指?どういう意味?」

覚えてないのか?嫉妬の異能か・・・。

「いや、覚えてないならいいんだ」

「怖いってば。私がハルトの指を斬った?有り得ないって」

リリアは首を横に振り否定する。

まぁ、覚えてないんだししょうがない。

「はぁ、ルヴィの異能は面倒だな。早く始末したいんだけど・・・」

メルティがボソッと物騒なことを呟く。

「それは同感だな。怠惰と言い嫉妬と言い厄介な異能だな」

「そうだよ。代行者の異能はすべて厄介な能力と言っても過言じゃないから」

「どう攻略するかが胆だな」

どんな異能、というか能力にも弱点はある。

完全無欠な能力なんて存在しないはずだ。

戦闘じゃ何もできないならせめて相手の攻略法を見出すぐらいやってのけるしかない。

「リリア、女神は召喚できるのか?」

「できないこともないけど魔力ほとんどなくなるしまだまだ魔力が足りないから本来の女神を召喚できないの」

そういえばそんなこと言ってたな。

「もしもの時は女神召喚頼んでもいいか?」

「え?まぁいいけど」

リリアを守りたいのは本当だが女神が居ればまずリリアが死ぬことはないだろう。

女神は俺には敵対的だがリリアには過保護だからな。

「にしても・・・、巨大樹遠すぎるだろ!」

歩き始めて数時間。歩いても歩いても距離が縮まってる気がしない。

「確かに遠いね・・・。そろそろ疲れてきたかも」

リリアも荒い息を吐きながら足を止める。

「疲れるの速くない?」

メルティは疲れなんて微塵も感じさせない表情で俺たちを見る。

「体力お化けかよ・・・」

俺とリリアは地面に腰を下ろし一呼吸つく。

それから俺たちが休憩したいとメルティにいい今日はこの荒野で寝ることにした。

リリアがカプセルを出してくれたのでありがたく使わせてもらうことにした。

メルティが興奮気味にカプセル内を徘徊している。

「いてて・・・」

リリアは首筋を擦りながら顔を歪める。

「痛むか?」

「ちょっとね・・・」

リリアの首筋に手を当て【治れ】と唱える。

「痛み引いたか?」

「え?あ、う、うん」

少し頬を紅潮させ俯き気味に呟く。

「なに、してるの?」

背後からドスのきいた声が聞こえる。

心臓がやばい勢いでバクバク言い出すがなんとか冷静さを保ちながらメルティと対峙する。

「メルティが手刀で打ったところが痛むらしいんだ。だから治療をしてた」

硬い言葉しか出なかったが今までの俺にしては上出来じゃないだろうか。

「治療、か。まぁ、いいよ」

感情の読めない声と表情で呟きメルティは寝室に向かった。

「はぁ、焦った」

「ごめんね、私ってやっぱり邪魔だよね」

リリアは自嘲気味に笑いながらそう言う。

「そんなことはない。今までもリリアに助けられたしこれからも助けられると思う。だから邪魔だなんて言うな」

「でも私何もできなかった」

「それは俺も同じだ」

「私がいなければ二人はもっと楽だった」

相当傷ついてるな。確かに自分が足でまといになるのはきついしな。

「・・・」

リリアは俯く。表情が見えないので何を思ってるのかはわからない。

地面に水滴が落ちる。水滴はリリアの顔から垂れていた。

「リリア?」

「ごめん、ごめんなさい・・・。私が、私がいるから・・・」

声を押し殺して何かを吐き出すように泣き出す。

「私は弱いし、馬鹿で無能でクズで、何もできないクソ女だから」

「リリア」

大きくもないが小さくもない力強い声でリリアの名を呼ぶ。

「言ったろ?お前は邪魔じゃない。それに弱くてクズで無能なのは俺も同じだ」

「ハルト・・・」

リリアは顔を上げる。

その顔は涙で濡れ顔は歪み見ていて痛々しい表情だった。

抱きしめたい、けど後ろからメルティが見ているのを感じる。

ここで抱きしめれば下手したらリリアの首が飛びかねない。

二股しているクズ男の心境ってのはこんな感じなんだろうか。

「弱いなら強くなろう。無能なら有能になれるよう努力しよう。人間ってのは本気で努力すれば大抵のことはできるようになる」

「・・・うん。そうだね、泣いてても変わらないよね」

涙を腕で力いっぱい擦りリリアは泣きやむ。

その表情はやはり少し歪んではいたが先ほどまでの痛々しい表情ではなくなっていた。

「雑魚どうし頑張ろうぜ。ちょうどメルティ大先生もいることだし」

メルティに目をやりくるよう視線で言う。

「まっかせて!リリアもついでに守ってあげる!!」

その言葉を信用は出来ないが一応ありがたい。

「大先生もこう言ってるし今日は寝よう」

「わかった」

そうして俺たちはよる飯を食べ終えベッドに寝転がり時を飛ばすことにした。

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