55話 大罪の間
怠惰の代行者を何とか撃退した俺たちはいまだに疲れが取れず寝ていた。
メルティは驚異の回復速度でとっくに全回復しており元気そうだった。
「ハルト、やっぱり私たちって無力だね」
リリアが自嘲気味に言う。
「そうだな」
俺も俯きかげんに言う。
「正直メルティが居なかったら勝てなかった」
「そうだよね。あの異能?だけで殺されかけてたわけだし」
「それな。あの異能を何とかしない限り代行者には勝てない」
俺は立ち上がりメルティの元に向かう。
「メルティ。ありがとな」
「え?全然いいよ。ハル君が私の命みたいなものだし」
メルティを普通の子に戻してあげたい。
今は狂ってるけど時間をかければ大丈夫なはずだ。
メルティをなでる。
「えへへ」
照れくさそうに笑い頭を自分から摺り寄せてくる。
リリアはその様子を少し複雑そうな表情で見ていた。
「あ、そういやソフィアはどうなったんだろう」
「確かにね。王死んだわけだし・・・。今頃あの国はどんちゃん騒ぎなんじゃない?」
「ソフィア?ハル君。それって女の人の名前だよね」
メルティが低い声で俺に詰め寄ってくる。
マズい・・・!!
「あ、あぁ、ソフィアは俺の友達だよ。友達」
「友達?」
「う、うん」
「そっか!ならいいんだ」
ふぅ、死ぬかと思った。
「メルティ、怠惰の奴は死んだと思うか?」
「んー、どうだろうね。重症だとは思うけど死んではないと思う。代行者はあれくらいで死なないよ」
「そうだよな・・・」
死んでくれたら万々歳だったんだけどな。
「代行者は7人だよな?」
「うん」
「七つの大罪を元に代行者がいるのか」
「そうっぽいね」
「そういやばハル君代行者の中で一番強いの誰か知ってる?」
「いや、知らない」
「憤怒の代行者、ジグルだよ」
「ジグル?」
「うん。彼の異能も含めて最強なの。私ももう少しのとこまで追い詰めたんだけど異能にやられちゃった」
「メルティが負けたのか・・・」
今の俺たちじゃ到底勝てないな。
・・・
「あー、おっそーい!怠惰君今戻ったの?」
代行者の集う場所。大罪の間にて。
「ごめんごめん」
怠惰、レイがだるそうに歩きながら代行者の面々を見渡す。
「で、色欲は殺した?」
「いやぁ、殺し損ねてしまったよ」
ドゴォン!机が破壊される。
「殺し損ねただとぉ!?」
憤怒、ジグルが怒り心頭の様子だ。
「そう怒らないの憤怒君」
「貴様に何がわかる嫉妬!」
「五月蠅いなぁ、でもその怒りを他の人にぶつけないでね?嫉妬しちゃうから」
「ぐぬぬぬぬ、怠惰!貴様は何のこのこと帰ってきている!!」
「これでも重傷を受けたんだよ?ねぎらってくれてもいいんじゃないかな」
「黙れ!殺し損ねた分際で意見するんじゃない!!」
「君が黙ったらどうなんだい憤怒君」
「なに?」
空中で会議(と言っていいかわからない)を見守っていた傲慢、フクシィが口を開く。
「さっきからうるさいんだよ。僕みたいな美しくて素晴らしい人間を敬いなよ。それに比べて君は醜いねぇ」
「はいそこまで。話が逸れたから戻すね。怠惰君。ベルフェゴールの異能は使ったの?」
嫉妬、ルヴィが手を鳴らし場を沈める。
「当り前さ、僕が動くのはめんどくさいからね」
「で、殺し損ねたの?確かに色欲のアスモデウスの異能は強いけどさぁ」
「まぁいい。次はだれが向かう」
「はいはーい!私が立候補してもいいかな」
嫉妬が飛び跳ね手を上げる。
「貴様がか?」
「うん。私色欲ちゃんとは仲よかったし殺すなら私が殺したいし?」
「そうか。ならお前に任せる。くれぐれも殺し損ねるなよ」
憤怒は怠惰を睨んだ後嫉妬に言う。
「はーい、じゃあ行ってきまーす」
嫉妬の代行者、ルヴィは色欲の代行者、メルティを殺しに向かったのであった。




