56話 嫉妬の代行者
「そろそろ場所変えたほうがよくない?」
リリアが突如そんな提案を言い出す。
「だな。怠惰の代行者にも居場所がばれたしここにいても危険だろうな」
「メルティもさんせーい!ハル君を危険に晒すわけにもいかないもんね」
「でもどこに行くんだよ。港国に戻るわけにもいかないしな」
「そうだよねぇ、メルティが王様殺しちゃったわけだし」
リリアがメルティを見る。
「ごめんってばー。だって暇だったんだし」
暇で人を殺すのもどうかと思うが。
「私魔術学校行ってみたーい!!」
メルティがそんなことを言い出す。
「は?魔術学校?」
「うん!ハル君と楽しい学園生活を送りたいなぁって」
「楽しいかどうかはさておきいい案だな。学園なら他の生徒も大勢いるだろうし安心だろ」
「確かに。隠れ蓑にもなるかもだしね」
「で、その肝心の魔術学園はどこにある」
「そこは安心して。ここから1万ブロック離れた大陸の国にこの世界最大の魔術学園があるから」
「1万ブロック!?」
遠すぎんだろ。
「安心して。私が本気で飛べば二日だから。って、ハル君の体がもたないか」
「うん。原子レベルで分解されるからやめて・・・」
「ちょっとメルティ、私の心配は?」
リリアが不服そうにメルティに抗議する。
「リリアは別にいいかなーって」
「よくないし!」
「この大陸とは別の大陸ってことだろ?だったら海渡らないといけないしな。航海も視野に入れないとな」
「航海!楽しそう!!」
メルティがはしゃぎだす。
「じゃあ、港町でも目指しますかね。港国には戻れないし」
「そうだね!じゃあしゅっぱーつ!」
メルティが歩き出す。
リリアと俺もそれに続くように歩き出す。
「港町ってどこにあるんだよ」
「え?わかんない!」
メルティが笑顔で振り返りそんなことを言う。
「えぇ!?分かんない!?じゃあどうすんだよ」
「そんなに慌てなくてもいいってハル君。港町なんて海の近くにあるんだから」
まぁ、そうかもしれないがそんな大雑把でいいのか・・・。
「とにかく行くだけ行こう!」
メルティが走り出す。
「って、速すぎんだろ!!!」
あっという間にメルティの姿が見えなくなり俺とリリアも急いで向かう。
・・・
「ずるい、ずるい、ずるいずるいずるい!私のメルティのあんなに楽しそうに。殺す、殺す、殺す!」
嫉妬の代行者、ルヴィは遠方から様子を伺っていた。
・・・
「はぁ、はぁ、はぁ、」
メルティが走り出してから10分。
俺とリリアはマジ走りをずっとしていたので肩で息をしていた。
「速すぎだろ・・・」
やっと追いつきせき込みながらも息をする。
「あはは、ごめんね?ちょっと興奮しちゃって」
メルティは興奮収まらずといった感じな様子だ。
「濡れてないよな・・・」
冗談交じりに言う。
「濡れてる!!」
「おい・・・」
素直な回答にドン引きだ。
「ハルト、そういうこと冗談でも言うべきじゃない」
リリアが真面目な表情で俺に言ってくる。
「お、おう」
怯み気味に俺はリリアに言う。
気のせいかもしれないがリリアが少し、いやかなり俺を睨んでいる気がする。
「とにかく港町に行く方法を考えないとな」
「そもそも海がどの方角にあるのかすらわからないしね」
「う~ん。忘れた!」
メルティは笑顔満開でそう答える。
「おいおい。マジかよ・・・」
「ハル君!!」
急にメルティが抱きついてくる。
「な!?ど、どうしたんだよメルティ」
「あ゛!?」
右手に突如激痛が走る。
右手を見ると指5本がすべてなくなっていた。
リリアの手には抜かれた双剣。そして、血がついていた。
つまりリリアが俺の手を・・・?
「ぐ・・!!」
痛い、痛い、痛い。
「ハル君?・・・。ハル君!!」
メルティが泣きついてくる。
「ハルトが悪いんだよ?私を置いてメルティばっかに構うんだから」
リリアが俺を冷たい視線を向け睨みつけてくる。
「お前!ハル君をよくも!!」
メルティが激昂しリリアに襲い掛かろうとする。
「待て!!!!」
大声で叫びメルティを止める。
「ハル君!こいつはハル君を斬ったんだよ!?生きてる価値のない雌肉なんだよ!?」
「はぁ、はぁ、はぁ。メルティ、いいから、殺すな」
痛みに必死に耐える。
「指を、指を取ってくれ」
コブリンの時はアドレナリンで痛みはあまりなかったが急に来ると痛い。
「ゆ、指だね。わかった!」
メルティが俺の切り落とされた指を5本拾い俺に渡してくる。
「さ、サンキュ」
受取り腕をすべてくっつける。
【治れ】
指が元通りにくっつき少しずつ痛みが引いてくる。
「よかった・・・」
メルティが俺の手を掴む。
「じゃれ合うな!!!」
リリアが剣を抜き俺に斬りかかる。
メルティはリリアの剣を素手でいとも簡単に掴んで止める。
「リリア。何のつもり?今はハル君が殺すなって言ってるから殺さないけどこれ以上度が過ぎた行動をするなら、殺すから」
メルティは剣を掴みながらリリアに言う。
「さっすが私のメルティ。素早くて力強くて可愛い手」
突如リリアの背後から長い髪を揺らしながら笑顔で近づいてくる女が。
「ルヴィ・・・」
メルティはルヴィと呼ばれた女を睨む。
「そんなに睨まないで?私の愛しのメルティ・・・」
「黙れ!!このストーカー女が!」
メルティはルヴィを睨みつける。
「ストーカー?違うわメルティ。愛の衝動よ」
「ごめんハル君。これくらい許して」
メルティは俺の目には捉えられない速度でリリアの首筋を手刀で叩き気絶させる。
「あ・・・」
リリアはこと切れた人形のように倒れる。
「あらあら。私のレヴィアタンの異能は気絶した人間には効かないから。残念」
「お前はだれ____」
ルヴィという人物に問いかけようとするが・・・?
「黙れ!!!このクソ野郎が!」
途轍もない大声量で叫ばれる。
耳がキーンとして何も聞こえなくなる。
耳から血が垂れてくる。
鼓膜が、破れたんだ。
「お前は人の女を奪っておいて何様だ!!」
相手の女が何か叫んでいるのはわかる。
だが何も聞こえない。
鼓膜が破れたんだから当たり前か。
耳に手を当てる。
【治れ】
破れた鼓膜が再生し音を拾う役割を担い始める。
「私はお前のものじゃない!ハル君の物だ!!」
メルティは俺の前に立ちはだかりルヴィに言い放つ。
「・・・え?め、メルティ?何言ってるの?あんなに愛し合った仲じゃない」
「愛し合った?お前は異能で強制的に私の体を撫でまわして犯そうとしただけじゃないか!」
メルティは思い出すのも嫌と言わんばかりに顔を嫌悪一色に染める。
「わかったわメルティ、言葉でわからないなら体でわからせてあげる」
ルヴィはメルティを睨みつけ武器と思われる鎖をだす。
鎖か、リリアが召喚した女神を思い出すな。
「来るなら来い!嫉妬の代行者!!」
え!?そうなの!?
七つの大罪を元にした敵。代行者。一見REゼロのパクリかと思われそうで怖いです。パクリと感じた方、いると思いますがあんまり僕を責めないで?「懇願」




