53話 ヤンデレ?
「でもハル君。特訓って具体的に何するの?」
メルティが近くの大岩を破壊しながら聞いてくる。
「毎日メルティと戦って一撃食らわせるまで?」
「いいね。簡単で」
「ちょっとメルティ。ハルト殺さないでよね」
「そんなことするわけないじゃん」
「信用できない・・・」
リリアは疑いの目をメルティに向ける。
「じゃあさっそく始めようか」
俺は剣を抜き構える。
「うん。いつでも来ていいよ」
「じゃあ、行くぞ!」
【雷竜一閃!】
足にありったけの力を籠め踏み込み地を蹴る。
視界が歪む程のスピードでメルティへと迫る。
メルティは片手を翳し『空間をゆがめた』
グニョンとでも擬音がつきそうなくらい俺の腕と体は曲がりメルティの後ろに移動する。
「?」
すぐには理解できなかった。
俺は確かにメルティに向かって攻撃したはず・・・。
「ハル君。速度は申し分ないけど威力にかけるね。そんなのじゃ弱すぎて傷一つつかないよ?」
「…マジか」
「うん」
「さぁ、来て」
俺はそれから剣を何度も何度もメルティに振り魔術を行使しながら戦った。
だがことごとく空間を歪められ結局メルティに攻撃が届くことはなかった。
「う~ん、ハル君ってレベルは?」
「50だ」
「え!?ほんとう!?」
メルティは驚く。
何を1200レベルの奴が50の雑魚に驚いているのか。
「てっきり私は150ぐらいかと思ってた」
「・・・え?」
「だってハル君の攻撃の速度と威力は50のそれじゃないよ」
「そうなの?」
「うん。50でそれなら私と同じレベルの時は天地の差が出来そうだね」
そうなのか。でも50にしては強いだけのこと。
慢心する理由にはなりえない。
一方リリアは・・・。
「どうしたそんな尿意を限界まで我慢している乙女みたいな顔をして」
「我慢してるの!!」
「してこいよ」
「で、できるわけないでしょ!?外だよ!」
「はぁ?野ションベンぐらいできるいだろ。なぁメルティ?」
「え?わ、私も外じゃ恥ずかしいかも・・・」
メルティはもじもじしながら言う。
一見可愛いが中身は化け物だからな・・・。
俺は地面に手を置き土の壁をイメージしながら円形状に作る。
「これでいいだろ」
「気が利くじゃん!」
リリアは駆け込み放尿をする。
音が聞こえないようメルティと俺は少し離れる。
「メルティ。例えばなんだが俺が他の女といるところを見たらどうする」
殺されかねないからこんなこと聞きたくないが確かめたいことがある。
「その女を殺しちゃうかも」
いたって真顔で真面目に言い放つ。
「そうか」
「でもあんまりハル君が私以外の女を見るんだったら【一つ】になることも視野に入れてるんだよ?」
その言葉を聞いた瞬間背中に冷たい衝撃が走る。
冷汗も吹き出すように出てきだす。
「善処する」
「そうしてね」
メルティは笑顔で言いリリアの方へ走っていく。
早く、早く力をつけないとな・・・・。




