50話 代行者
ギルドに到着。
「あら、お帰りなさい。どうでしたか?」
受付嬢が笑顔で聞いてくる。
「ゴブリンは倒した。だがやはり変種だった」
それから俺は受付嬢にゴブリンのことをすべて話した。
「そうですか・・・。とくご無事で」
「まぁ、な」
腕がもげて無事って言っていいのかわからないが。
「報酬は倍払わせてもらいます」
「いいのか?」
「はい。危険なクエストをクリアしてもらったので」
そういうことなら遠慮せずにもらっとこう。
剣を作ってから金欠だしな。
ギルドから出る。
「やったねー、いっぱいお金手に入ったね」
「そうだな。この金で一回娼館に行こうと思う」
「娼館!?」
リリアが大声で言う。
「あぁ、少しやりたいことがな」
「ダメ・・・」
ボソッとリリアが呟く。
「ん?」
「ダメ!ねぇハルト。そのやりたいことの相手って私じゃダメなの?」
涙目で上目遣いに言ってくる。
「勘違いしているようだが俺がしたいことはえっちなことじゃない。聞き込みだ」
「え?聞き込み?」
「そうだ。少し気になることがな」
「な、なーんだ。なら安心、じゃなくて!言い方が紛らわしいのよ!馬鹿!」
リリアは安心したかと思うと今度は怒り始める。
情緒忙しい奴だなおい。
「ごめんごめん」
リリアの頭に手を置きなでる。
「・・・。もう・・・」
落ち着いたようだ。
娼婦に聞きたいこと、それは代行者とかについてだ。
あの夜中戦ったガキの服に娼館の紋章が描かれていた。
関係があるとは言い切れないが聞くだけ聞いてみよう。
「は~いこんにちわ~!わたしはぁ、色欲を司る代行者でぇ~す。以後お見知りおきを~」
突如国全体に奇妙な音声が流れる。
「なんだこの放送」
「え~っと、ハルトさん、だったかな?今すぐ王城に来て下さぁ~い」
そう言い残し放送は消える。
「・・・俺?」
「ハルト、これ罠なんじゃないかな」
「まぁ、そうかもな」
「行くの?」
「行くしかない。それにリリアもいるし大丈夫だろ」
「・・・、そだね」
俺たちは王城に行く前に武器の手入れや魔力回復などをして王城へと向かった。
城の門付近まで来る。
兵に事情を話し中に入れてもらい城の謁見室へと向かう。
謁見室の扉を開けると貴族たちが右左にびっしりと並んでおり王が威厳を漂わせ座していた。
「来たけど、なんか用?」
「無礼者!」
一人の貴族が激昂を俺に飛ばす。
「ハ、ハルト。いくらなんでも・・・」
リリアを手で黙らせ言葉を続ける。
「俺は忙しい中わざわざ来てやったんだ。さっさと要件を言え」
「あは?王様にそんな口調聞けるなんてなかなか図太いんだね」
「!?」
振り返る。
そこにはリリアと同じぐらいの背丈の女の子が立っていた。
気づかなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
息が荒くなる。
「そんなに怖がらないで?」
一瞬で耳元まで来てささやく。
「みなさ~ん!お集まりいただきありがとうございま~す!」
謁見室全体に向かって叫ぶ。
その言葉に答えるように貴族全員が膝をつき頭を垂れる。
そして、国の最高権力者でもある王までも。
この異様な光景にしばらく理解が追い付かなかった。
ただの子供になんで・・・。
「そこ、少し頭の位置が高い」
誰も見とれるであろう笑顔で少女はその貴族の首を、刎ねた。
ブシャーーー!と血が噴水のように噴き出る。
周りの貴族たちは恐怖に顔を歪めながらも微動だにもせずに頭を垂れる。
「それでいいんだよぉ~?出来ない悪い子には【罰】があたえられま~す」
「で、なんで俺を呼んだんだ」
「そうだった!ごめんね~?話がそれちゃったね。単刀直入に言うけど、一目惚れ?」
「一目惚れ、だと?」
「うん!最初傲慢の代行者から聞いた時からね?心臓がバクバク言い出してぇ、下品なんだけど、濡れちゃったの。きゃー、言っちゃった!どこが濡れたかは聞かなくてもわかるよね?」
何言ってんだ、こいつ。
濡れた、だと?
「・・・で、どうしたいんだ?」
「それ聞いちゃう?まぁ、いいや。言ってあげるね。私と、ヤってほしいの」
「なぜ?」
「さっき言ったじゃん。一目惚れだって」
「一目惚れしたからって最初からするわけじゃない。何回もデートとかをして関係が深まったときにする行為なんだよ」
「そうかもだけどぉ、私まだ処女だから早く卒業したいんだよねぇ~?」
「ハルト!この子の言うことを___」
「黙れ」
少女は地を這うような低い声を発しリリアを睨む。
「・・・!」
リリアは怯み後ずさる。
「ハルト君を奪った泥棒猫の分際で喋るんじゃない」
手をかざしリリアに何か撃つ。
ドゴォン。
リリアは何かに吹き飛ばされ謁見室の壁に叩きつけられる。
「かはっ」
血を吐き地面に倒れ気を失う。
「リリア!」
一瞬で少女が目に前に迫り唇を塞がれる。
「あは?私のファーストキス、どう?」
「この!」
殴りかかる。
だが片手で難なく止められる。
まるで赤子をあやすかのように。
格が違う、天地がひっくり返っても勝てる気がしない。
それだけの実力差。
「もう、いきなり殴りかかるなんてひどいなぁ」
手刀が迫る。
対処しようにも早すぎて目で追うのが精一杯。
首筋を叩かれ気を失う。




