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異世界で奴隷生活始めました:Retake  作者: 海峡 流
第一章 ザナウェル防衛戦
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鶫の断末魔

※ちょいグロ

 イヴとカイムの戦闘は未だ続いていた。

 また新たに硬化したカイムの翼とイヴのハルバートがぶつかる。


「貴様ァァァああ!しねしねしねシネ死ねシネェェェェェ!ーーーーー【ーーーーーー】!」


「懲りねぇなぁ…まぁ無駄なんだけどよ!ーーーーー【風の妨げ(ディスタブウィンド)】」


 するとカイムの魔法によって生み出された氷の槍がイヴに触れること叶わず砕け散った。

風の妨げ(ディスタブマジック)】は風の『どんな隙間にも潜り込める』という特性を最大限に活用した魔法だ。それは魔法が完成する前に、その魔法式の隙間に潜り込んでその構成を乱すというカラクリ。

 もちろん、風王の加護を受けていないものには使えない風魔法の奥義である。


「魔法は効かないってわかったろ?大人しく殴りあおうぜ!」


 そう怒鳴り散らしながらイヴはカイムへとハルバートをフルスイングした。

 受け止めきれなかったカイムが漫画みたいにぶっ飛ばされ、嫌な音と共に壁にぶつかった。


「しっかし丈夫すぎやしねぇか?この魔法?」


 そうひとりごちる。

 魔法というのはそれ自体に負荷がかかりすぎたり、術者が相応のダメージを負うと綻びが生じるものだ。例えどんな大魔術師の魔法であろうと。

 しかしどういうわけかこの領域魔法はそうした常識が通用しないらしい。


 まぁ術者を殺しちまえばいい話か…


 そう思い当たり、カイムにトドメを刺そうと歩み寄る。


「ニンゲン…人間風情がぁぁぁぁぁぁぁアアア!調子に乗るなよ!ーーーーーーーー【ーーーーーーー】!」


 またわけのわからない呪文をカイムは唱えた。

 魔法を発動させる隙を与えてしまったことにチッと舌打ちしてカイムにハルバートを振り下ろした。


 が…ハルバートは金の壁へとぶち当たり、ゴンと音をさせるにとどまる。


「クソッ!領域魔法と融合するとかありかよ!殺せねぇじゃねぇか!」


 理由は単純。カイムが自らの領域に飲み込まれたのだ。


『これでは手も足も出ないデショウ!ホーホッホホホッホゥ!愉快ィィ…愉快ですよォォォォ!今までコケにしてくれたぶんたっぷりいたぶってやるゥゥゥゥゥ!』

「るっせーな…こいよ?当たらなければいいんだろ?」


 カゴの中の鳥状態となったイヴだが、その余裕が崩れることはなかった。

 挙げ句の果てには挑発までし出す始末だ。


余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)トォォォォ!シネ!死ね!コロス!殺しテェェェェェ!【黄金の羽根(アウルムペンナ)】!!』


 もはや正気を失っているカイムが発動した魔法はひたすら魔法の羽根が壁から生み出され、イヴへ迫ってくるというものだった。


「よっと…」


 イヴはそれを見るなり得物をファルシオン二振りへと変える。

 そして…


「無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」


 凄まじい速さでそれを弾き出した。ガガガガガガという音が狭い部屋の中に響き渡る。

 手が多少傷つこうが体に当たらなければなんのその。


 三分後、そこにはほぼ無傷のイヴとそこら中に散らばった大量の金属の羽根だけがあった。


 それを見ていよいよカイムの怒りもピークへと達する。


『貴様!どれだけ私ォォォォ!愚弄すればァァァァ!気が済むのだァァァァァ!』

「ハハハ!お前面白いな!『七賢に最も近い女』を舐めんじゃねぇぞ?見誤ったな、カイム。まぁ俺をここまで踏むとどまらせたことは褒めていいと思うぜ?そろそろチェックメイトだ」

『何をデタラメなッ…!』

「ほーら黙れって…そのちいせぇ耳の穴をかっぽじれば聞こえるんじゃねぇか?夜雀の声がよ」

『五月蝿い!お前はココで終わりだ!コロス殺すころす殺す殺しテ殺してコロシテ…』

「ったく…話が通じねぇ野郎だな…まぁいい。終わりだ。砕けやがれ」


 そしてイヴは手をピストルの形にしてそれを天井へと向けた。

 気が触れたように呪詛を吐いていたカイムもわけがわからず問う。


「何を…」

「バァーン」


 そして、ガラスがひしゃげるような音と共に魔法が砕け散った。風景が狭苦しい黄金の宮殿から血なまぐさい戦場へと変わる。

 それと共にどこからともなくに片翼を失ったカイムの姿も現れた。



「馬鹿ナッ!領域魔法の上書キだと!?」

「いやー、やっぱいい働きするなぁうちの奴隷は。待った甲斐があるってもんだぜ。それじゃあお待ちかね、『本気の本気』だ。得とご覧あれ。月は満ちた。【狼男(ルー・ガルー)】」


 その呪文を唱えた刹那、猛烈な風がイヴを中心にして吹き荒れる。

 魔力の密度が徐々に高まってくると『アォーン!』とイヴ、いや、イヴだったものが遠吠えを始めた。


 やがて風は止み、そこには風が狼を形どった化け物がその姿を現した。

 不可視にして俊敏、獰猛。


 そう、イヴは風王の巫女となったおかげで『満月の夜』という制限付きで精霊になることができるのだ。

 これがイヴをSランクたらしめている最たる理由である。

 それを差し引いたとしてもSランク冒険者で有ることには間違いないが…


 そしてその風狼は再び、咆哮した。

 敵は萎縮して縮こまり、あるいは千々に逃げ始め、味方は腹のそこから湧き上がってくる勇気にたまらず叫んだ。


「「「勝利を!圧倒的な勝利を!」」」


 そして潰走が始まる。

 もはや冒険者側の勝利は疑うべくもなかった。


 風狼は絶望的な表情で膝をついたカイムを睥睨する。


『片腕がないところまではあの神話と一緒だな、カイム。じゃあ死ねよ…【主神殺しの牙】』


 そして不可視の牙がカイムへと迫った。


「こ…コノインチキ野郎め…」


 その言葉を最後に、カイムは頭を『食い千切られた』。

 グチャグチャと気色の悪い音が辺りに響き、ドス黒い血が辺りに撒き散らされる。


 最後にぺっと吐き出されたそれは元はなんだったか判然としない。


 それなりに力があった悪魔の、あまりにあっけない最期だった。


遅い!短い!くどい!


どうも、海狭です。

もうしわけありません。最近かなりのハードスケジュールでして…更新が二日も遅れてしまいました。しかもこの短さ…

生暖かい目で許してくださると幸いです。


今回短かったので約束通りステータスを、と思いましたがアイゼスの戦いが終わってからがいいかなーと思ったので来週載せます。


それでは長々と失礼しました。

お気に入り、評価ありがとうございます!



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