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異世界で奴隷生活始めました:Retake  作者: 海峡 流
第一章 ザナウェル防衛戦
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悪魔の手口

 俺の魔法は無事に発動し、雲全体へと広がっていく。雲の影が濃くなっているところが魔法でおおわれている場所だから見ただけでそれがわかるようになっている。

 そして、数秒後にまず最初の小型【ジャベリン】が地面へと降り立った。その後も次々とそれが続く。


「グゲェッ!?」

 

 というカエルを踏みつぶした時聞こえる声によく似た声がどこかで聞こえた。どうやら攻撃が当たり始めたみたいだ。いいぞ…

 さらに雲へと魔力を送り込む。

 もはや降り注ぐ槍の雨に隙間がなくなるほどに。。


 「グガッ!」「ギシャャアアアア!」「ォォォォオオオオオオオン!」などといった断末魔も絶え間なく続く。このまま殲滅しきれるか…?

 だがそう事はうまく運ばないようになっているらしい。


 いきなり巨大な火柱が敵の方で上がったのだ!火柱というよりは火の塔とでも呼ぶべき大きさだ。

 その火柱はぐんぐんと高さを上げていき、ついには雲までたどり着いた。

 そして、爆ぜる。


「グッ…!」

 

 爆風がここまで届いた。見れば冒険者たちも咄嗟に身を庇う。当然、雲は散ってしまい俺の魔法も無理やり中断させられる。

 そして同時に、俺たちの運も尽きたようだった。


「グワアアアアアアア!」

「どうしたローラン!おい!しっかりしろ!!」 

 その声につられて視線を向けると、ローランは高台から転げ落ちて地面でのたうち回っていた。

 さらにはまるでペストのような黒いシミが彼の白い肌をむしばんでいるのが見える…!


 ふと、【アイギスの砦アルクス・アイギス】の方を見るともはや形はほとんど残っていなかった。

 それも最後のひとかけになると、ローランの悲鳴も一層悲壮なものに変わる。

 【悪魔の炯眼】で見れば、魔力の糸を伝って彼の魔力があの黒い何かに食いつぶされる様子が見えた。俺の見立てではもう、助からない。


「クソッ…!――――――【キュア】!ダメか!――――――【ディスカース】!なぜだ!なぜ効かない!おいローラン!気をしっかり持て!ローラン!」

「アアアアアァァアァァァァァアァ!ア…!ァ……」

「おいローラン!しっかりしろ!おい!」


 ローランの悲鳴が止むと同時に、【アイギスのアルクス・アイギス】が消滅する。


「敵がくるぞおおおおお!!!!!矢を!魔法を!尽きるまで放てええええ!!!」


 これまで援護程度の働きしかしていなかった後衛部隊も、ルガーの号令でついに本格的に動き出す。


「マッシュ!ローランから離れな!【十字砲火クロス・ファイア】を使うから手伝うんだよ!後カナタ!アイゼス!前衛に加わるんだ!イケそうだったら向こうの頭をとってくるんだよ!」

「はい!」

「了解した!いくぞカナタ!」


 そして俺たちは後ろ髪を引かれながらも血みどろの戦場へと飛び込んでいった。


「【ストレージ】」


 そう言ってメメントモリを取り出した。

 アイゼスも腰に佩いていたフランベルジュを抜刀する。


「カナタは左の方へ行け!私は右に行くぞ!武運を!」

「了解です!そっちも武運を!」


 そうして別れた後、早速敵と遭遇した。一人の冒険者がピンチというおまけつきだ。

 種類は《オーク》。そのでかい体は俺にとって当たりやすい的以外の何でもない。


「【二の刃セグンド・ラミナ】」


 抑え気味のトーンでそう唱えながらメメントモリを振りかざすとすぐさま魔法が放たれた。

 それはまっすぐオークの首へと向かっていくと次の瞬間には首なし死体が出来上がっていた。

 噴水の如く血が噴き出す。


 それをしり目に俺は次にゴブリンの群れへと突っ込む。


「フンッ!」


 メメントモリ振り回しながら一回転するとゴブリンたちは胸や頭なんかを切られて次々と倒れて行った。バジリスクのコートがはためく。

 

 だが埒が明かない。ったく…切れば切るほど増えていくとか…なんのバツゲームかっつの。

 仕方ないので、奥の手を打つことにした。


「【武器支配アルマ・コントロル】!」


 そう唱えて周りに散らばっている死んだ冒険者やモンスター共の装備品を俺の制御下へ置いていく。

 何気にさっき思いついた使い方でけどうまくいったみたいだ…

 実に『戦争』向きのスキルだな…エリス様の意図が透けて見えるぜ…

 まぁ今は生き残ることが先決だ。気にしないことにする。


 結局一気に百本も二百本も操れるわけではないこと直感で分かった。

 精々十本程度だ。一応盾も用意しときたいので実質五本となる。

 なのでもったいぶらずに剣をそれこそ《投げ槍ジャベリン》のように拾っては投げ、拾っては投げをしていく。そこらへんに腐るほど転がってるしな…敵が武装してるとかできすぎなようにも感じられる。

 しっかし本当にキリがないな…

 とはいえだいぶ敵の渦中へとやってきていた。

 ちらほらと上位種も見受けられるようになる。まぁ剣投げて一発KOなんですけどね…


 さらに進んでいくと今度は何やらローブを頭からつっ被ったゴブリンたちが一列に並んでいるところに遭遇した。そのまま、手に持っている赤い宝石がついた杖を向けられる…!


「――――――――【―――――――】!!」


 ギシャギシャと呪文っぽい言葉を聞かされ、安直というかなんというか…杖から火の玉が一斉に放たれた。

 しかし放った方向に俺はいない。【影踏み】で相手の背後へと移動したからだ。


「はぁ…」

 

 ため息をつきながらメメントモリを一閃する。

 不思議とよく切れるこのデスサイズはほとんど抵抗なく、ゴブリンどもの首を五つ吹き飛ばした。

 そのままの流れで五十体はいた《ゴブリンメイジ》部隊っぽいのをを殲滅する。


 《ハイフィジカル》のおかげで肉体能力は向上しているが所詮は人の身。

 …ま、まぁ魔族ということを考慮に入れても少なくとも人型の身体だ。うん。疲れもすれば限界もいつかはやってくる。さらに言えば【デスレイン】はかなりの魔力を使う大規模な魔法だ。

 正直、いきなり精神的にも肉体的にも限界が来そうで怖い。


 そこで考えよう。この戦いをてっとりばやく終わらせるにはどうしたらいいか、と…

 イヴはカイムとかいう悪魔を倒しに行った。

 アイゼスはきっと火柱が上がった方へと向かっているだろう。実際走り去った方角がそうだったし。三人の悪魔のうち一体に遭遇する可能性は高い。

 じゃあ残った俺は?どいつを叩くべきか?


 答えは明白だ。


「…大将の首を取ってくるかな…【影踏み】」


 そうして俺はまた敵の群れへと突っ込んでいった。

 だが倒しながら進むようなまねはしない。

 【影踏み】で敵の間を縫うように進んでいく。目標はただ一つ。

 【アイギスの砦アルクス・アイギス】を崩した悪魔の統領を倒すことだ。

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