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異世界で奴隷生活始めました:Retake  作者: 海峡 流
第一章 ザナウェル防衛戦
19/43

ギルドにて

 十分もしないうちに冒険者ギルドの前までたどり着いた。なんというか…


「すごく…大きいです…」

「ん?そうだな。この街で一番大きい建物だ。ちなみに二番目は魔術ギルドだな」


 ネタはスルーされ(当たり前だが)アイゼスがプチ情報をつぶやいた。そういえば冒険者の街とか言ってたっけ。

 重厚そうな木の扉は開け放たれ、昼からクエストを受けるであろう人たちでにぎわっている。すごいな…ワクワク感が半端じゃない。


「よし、それじゃあギルドカードを先に作っておくか。そのあと食堂で飯を食おう」


 そういってアイゼスもギルドの中へと入っていく。俺もそれに続いた。


 アイゼスはまっすぐに一番左のカウンターへ向かうとそこで順番を待った。体感時間で五分ほどたつと順番がくる。


「やぁアリア。元気にやってるか?」


 そうアイゼスが声をかけるとその受付嬢はビクゥッと体を縮こまらせた。


「ひゃ、はい…お、おかげさまで…」


 返す声も何となく力ない…アイゼスが何かしたんだろうか…


「カナタ、紹介しよう。受付嬢のアリアだ。私がこのギルドに最初に来た時に親切にしてくれててな…以来懇意にしている」

「そうですか。よろしくお願いします」

「ひぅっ!よ、よろしくです…」


 挨拶をするとなぜか怯えられた。…ここは前向きに内気な性格なんだと思っておこう。決して俺が怖いとかじゃないはずだ。


「ハハハ。すまないな。彼女は結構内気な性格なんだ」


 やっぱりそうか。さすが俺、冴えてるな。

 ひとしきり雑談して打ち解けてくると、アイゼスが本題を切り出した。


「まぁそういうわけでこいつはまだギルドに加盟してないんだ。そこでギルドカードを作りたいんだが…」

「は、はい。もちろんできます。ではこちらに来てください」


 そう言ってアリアさんはカウンターから出て奥の方にある部屋へと歩いていった。部屋とはいってもドアはなく、真ん中に長テーブルとイスがあるだけだ。まぁ目につくのは机に置かれた六つの水晶玉と大きめのステータスウィンドウ、謎の四角い箱。それに奴隷商館にもあった指をちくっとさすやつぐらいか。またやられるのね…アリアさんが通路側、俺らが奥側に腰を下ろす。


「そ、それではギルドについて説明をさせていただきたいと思います…」


 そうして早速説明をし始める。まぁ要約してしまえば、一つ、ランクはFからSまでの七段階である。二つ、昇格方法はギルドが指定したクエストをこなしてくることである。といっても明らかに適正でない場合は挑戦すら認められない。三つ、勝手に死んでもギルドは責任を取らない、ぐらいか。あとは飛び級がなんだの設備の利用がなんだのと言ってたが完璧に聞き流していた。まぁご主人様がナントカシテクレルダロウ。ダメな奴隷でごめんなさい…


「…これで説明は終わりです。さっそくギルドカードの作成に入りましょうか。ギルドカードには【名前】【種族】【ジョブ】【属性】【称号】が記載されます。ジョブは自己申告ですけどね。早速教えていただいてもいいですか?」


 するとアリアさんは空中でなにやら指を動かし始めた。魔法だろうか…?

 というかジョブとか急に言われても…アイゼスの方をちらりと見る。頷かれた。…意図がわからん。とりあえず適当に答えとこう…


「ジョブは…そうですね。強いて言うなら魔法戦士です」

「ま、魔法戦士ですか…わかりました」


 そう答えるととても微妙な顔をされた。…だって実際【ジャベリン】とかメメントモリでの戦闘が多くなるだろうし鎌はどう考えても剣じゃないから剣士とかも言えないし…


「それでは次に魔法適正を測ります。通常であれば四つか三つ、適性が出ますね。その水晶玉は各属性の魔水晶の魔水晶からできていますから、適性があれば色づくはずです。その濃淡でどれに一番適性があるのか、を測ります。それがギルドカードに記載される主適性と呼ばれるものですね」

「どれからやってもいいんですか?」

「は、はい。一番左から火、水、風、土、光、闇となってます。好きなのかからどうぞ」


 …いきなり水晶をぶっ壊すのもあれだ。左からやっていこう。しかしどうしようか…とりあえず爆発しそうになったらストレージにしまおう…

 

 ということでレッツ適性診断だ。とんだ出来レースだが…まぁもしかしたらいい感じの属性があるかもしれない。でも多属性はいいことじゃないんだっけ?

 まずは一番左の火だ。


「【インジェクション】」


 そう唱えると…


「え…?」


 瞬く間に黒に染まっていった。どうすれば…なんて思ってるとフルフルと振動しだしたので慌てて【ストレージ】にしまう。あぶねー…

 くそ…どうやって言い訳しようか…


「…すまない。やり方わかってなかったようだ…魔水晶玉は属性で一万リラだったか?弁償しよう。あと代わりを持ってきてくれると助かる」

「えーと…ひ!はい!それじゃあ新しいのを持ってきます!」


 一瞬どうするか迷ったみたいだがアイゼスに睨まれるとすぐに部屋を飛び出していった。こけないといいんだが…


「…カナタ。魔水晶は手を置くだけでいい…だれからそんな無茶なやり方を教わったんだ…?注入とか普通しないぞ…」


 神様です、とは言えず…


「ごめんなさい。やり方を本当に知らなかったです…」


 思えば主人に金貨を一枚、無駄に使わせてしまったのだ。申し訳ない…


「まぁ細かく教えなかった私も悪い。だが次からはどんなことでもわからなかったら聞いてくれ。いいな?なぁに、お前はこれ以上ないくらいの逸材だからな。多少のことは面倒がらないさ」

「はい」


 軽いお叱りを受けてしまったな…まぁいい。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥ということなのだろう。違うか。というかアイゼスなら俺に見兼ねていつ暴走するとも限らない…ような気もする。ちゃんとしとこう…

 なんて自分を戒めているとアリアさんが帰ってきた。


「お待たせしました。では改めてどうぞ」 


 今度は失敗しないよう、慎重に水晶に手を乗せた。結果は…


「適正なし、ですね。次へどうぞ」


 その後も光までは適正なしが進む。さすがのアイゼスも諦め顔だ…


「えーと…次で反応が出なければカナタさんには魔法の才が全くないということになりますが…先ほども魔法を使ってたのでとてもとてもめずらしい単属性持ちということになります…ギ、ギルド職員でも十年に一度見るか見ないかなんですが…」


 …ま、まぁとりあえず最後の水晶に手を置いた。結果は…


 有罪ギルティ。真っ黒も真っ黒、もはや言い逃れはできない。しかも…

 パキ、と音がすると水晶が真っ二つに割れてしまった。ああ…

 戦々恐々としながらアイゼスの方を見るが…


「はぁ…弁償する。受けとってくれ」

「…………は!はい!」


 アリアさんしばらく呆然としていたがアイゼスに揺さぶられ、意識を取り戻して金貨を受け取った。


「え、えーと…気を取り直して…ステータスなんですが…」

「…すまない。また何を壊すとも限らないからな…実演はできない」

「そ、そうですか…特例を認めます…《奴隷》以外でもってる称号はありますか?」

「…いや、ない」


 俺の代わりにアイゼスが答えた。たしかに答えれないものもあるしな…

 しかしこれだけの力を見せつけておいてそれは怪しいんじゃないだろうか…

 まぁアイゼスにもアイゼスなりの考えがあるはずだ。見て見ぬふりをすることに決めた。


「わかりました。それでは最後に種族と名前をお願いします」

「ツジウラ・カナタ。カナタが名前です。種族は魔族」

「ああ、魔族の方だったんですね…じゃあちょっと納得です。それじゃあそこの針で血を一滴出してそれをこの四角い箱の上に垂らしてください。…はい。そうですね、できました。それでは改めまして、ようこそ冒険者ギルドへ」


 そういいながら謎の四角い箱から出てきたカードのようなものを手渡された。ちなみに材質は皮だ。アイゼスのは銅だったのでランクアップすればカードも豪華になっていくんだろう。…多分。

 それにしてもここまで来るまで大変だったなぁ…ようやく、一息つけた感じだ。

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