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異世界で奴隷生活始めました:Retake  作者: 海峡 流
第一章 ザナウェル防衛戦
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《鮮血姫》の由来

私は三か月以上かけてようやくこのザナウェルの街までたどり着いた。今から二週間前くらいのことだ。着いた後にはすぐにこの宿を取った。かなりの強行軍だったからな…

その後眠り続けた記憶があるよ。


 私が動けるようになったのは宿に泊まって三日目ぐらいのことだ。

だがしかしここで困った。当面の資金はあったがそれも有限だったからな。


 さいわいザナウェルは『冒険者の街』と呼ばれるぐらい冒険稼業が活発だ。

腕にそこそこの覚えがある私は早速冒険者になろうと勇んでギルドへ向かった。

兄は「血の気の多い妹なら冒険者にでもなるだろう」と思ったんだろうな…もらっていた装備一式が助かったよ。


 ギルドの印象は『とにかく人が多い』ということだったな…小さいころから大きい街に行くことがほとんどなかったせいかとても新鮮だった…まぁどうでもいい感想だな。


 とりあえず私はギルドカードを作った後、採取クエストを受けることにした。できるだけ高いランクから始めたかったんだが生憎そんな伝手もなくてな。コツコツとやっていこうと思ったわけだ。

早速私はその日のうちにクエストに出発した。


 その採取クエストはゴルゴラ草という薬草を採ってくるクエストだったんだ。 とはいっても森に言って草を採ってくるだけだからな。それ自体は早く終わった。


 その途中で森の様子がなんだかおかしいことに気づいた。何しろ動物が動いている気配が全くないんだ。

魔物はおろか動物一匹も見かけないなんて不気味だろう?普段森に入らない奴にはわからないかもしれないが…

まぁそういうわけでさっさと切り上げることにしたんだ。


 さっきも言ったかもしれないが私のスキルの一つは《第六感》だ。まぁひどく抽象的なスキルで時々『予感』的なものがするという結構なハズレスキルなのだが…


 それでその『予感』にも種類があるんだ。例えば『死の予感』とか。


 何が言いたいかというとその時もスキルが発動して『予感』がした。『厄介ごと』のな。


そこで私は帰り道を急いだ。

まぁ今思えばその『予感』から逃げれるはずもなかったんだけどな…


 そして予感通りヤツは私が森と街の中間点当たりに差し掛かったところで現れた。グリフォンだ。しかもとびきり興奮したヤツだったな。


 まぁ私は魔族領の出だ。あそこにはグリフォンよりまずい魔物なんていくらでもいるし昔から『ヤンチャ』だった私はそんなやつを割と何回も相手取ってきた。


随分と無茶もしたな…

 今思えば適当に追い返せばよかったんだろうが…うっかり、本当にうっかりだぞ?

いけるな、と思って首を一発ではね飛ばしてしまったんだ。


 …いや、そんな目で見ないでくれ…え?すごいって?…カナタは変わってるな…。


 ま、まぁそんなわけでグリフォンを倒したわけだ。しかしここで困ってしまった。証明部位がわからなかったんだ。


え?ああ、証明部位というのは「~~という魔物を倒しましたよ」とギルドに提出するものだな。それを出せばその魔物を倒したと認められ、報奨金がもらえる。グリフォンは十金貨だったはずだ。

 

 話を戻すぞ。それで私は確実にそれとわかる『頭』と『眼』を持っていくことにした。あと爪なんかの素材ははぎ取ったな。【ストレージ】に入る分だけ。…もしかして【ストレージ】も知らないのか?聞いたことだけ?うむ…それはちょっとまずいな。そのうち魔術ギルドにも顔を出そう。


 それでだ。その時の私の格好といえば今着ている装備に大量の返り血がかかったものだった。

しかも【ストレージ】に入りきらなかったグリフォンの足首なんかを持ってたりしているわけだ。


そのくせランクはF。しかもそのままギルドへいったもんだから「薬草を刈りにいってグリフォンを狩ってきたビギナーがいる!」なんて噂が立ってな…挙句の果てに《鮮血姫せんけつき》なんてあだ名までつく始末だ…。

まぁ討伐受付に血まみれのグリフォンの首をどん、と置いた時の印象がそれだけ印象的だったということなんだろうが…


 まぁあだ名がついたまではいいんだ。いささか不本意だがな。


問題はその後だ。私はグリフォンを倒したことが認められて飛び級して晴れてDランクになった。Dランクからのクエストの花形といえばやはり討伐モノだ。そして討伐クエストには三人から五人程度のパーティーで臨むことが推奨されている。

いくら強いからとはいえ慢心が身を滅ぼすのは歴史の通り。私も例に倣ってパーティーを組もうとしたんだが…


 まぁ周りは所詮初心者だ。明らかにギルド内で浮いている私にわざわざ声をかける人もいない。私から声をかけてもむしろ逃げられる始末だ…


どんな尾ひれがついたか知らないが「この悪魔!」とか言われたこともあってな…ああ、今思い出すとものすごくイライラしてきた…

 

 大体分かったな?この状況が一週間以上も続いた私は「奴隷を雇って自分好みに育てればいい!」という考えに思い至った。

実際報酬を独り占めするためにパーティーを奴隷で固めるやつは多いしな。そして値段と《第六感》で選んだ結果、それがお前になったということだ。


*****************************

 …なるほど。うちのご主人様はちょっと普通とは違うらしい。

いや、おかしいとか異常とかそういう意味じゃないから睨まないで!


 ていうかグリフォンの首を一閃って…話からは大きさは想像できなかったがそれでも細身の人の胴体ぐらいの太さはあるんじゃないだろうか?アイゼスもアイゼスだが剣の方も相当な業物のようだ…


 そういうことならアイゼスの悪名に恥じない奴隷にならねば…!


「こういう私情に付き合わせて悪いな…まぁひどい待遇はしないということで許してくれ」


 そう言ってアイゼスは頭を下げてきた。


「頭を下げないでください…まぁ成り行きとはいえ俺はアイゼスさんの所有物になったんですから…そこらへんは受け入れてますしアイゼスさんも堂々と胸を張っていてください」

「そうだな…それもそうだ。すまないな。お前に相応しい主人になるよ。それじゃあ寝ようか。朝起きられなくなる」


そう言ってアイゼスは《光匣(ライトキューブ)》を消し、眠ってしまった。


 うーむ…ちょっと話すぎたか…

 だけどアイゼスが俺を買ってくれなければ俺は今頃『掘られて』いたかもわからないからな…あ、すごい寒気した。


 この恩は絶対に返そう…そう決心を固め、俺も眠りについた。

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