⑷ グランバル軍事大国
現在、グランバル軍は、態勢を整えているとの事。
おそらく、突然攻めて来る事は無いだろう。
態勢を整え次第、使者を送り、降服を促す。
可能なかぎり、無傷で手に入れたいからだ。
その為には、圧倒的な戦力を見せつけなければならない。
敵の数は約3万との事。
その後、使者との交渉が始まり、降服を受け入れない場合、それから軍を動かし戦いが始まる。
セイリュウ殿が、先に向かうと言った。
移動中に無線で作戦を打ち合わせるとの事。高速ヘリで飛び立った。
リオンさんにはセイリュウ殿が向かった事を伝え、交渉をなるべく長引かせるように伝えた。
『ティファール国に手を出したら、グランバル軍の頭上に死の雨が降る』
この事を交渉のカードに使うよう、リオンさんに伝えた。
以前、ラィンテリアを侵略しようとした時に体験している。
まんざらブラフではないと思うだろう。
戦いが始まる前にセイリュウ殿が着けば、なんとかなる。
麻酔薬搭載のドローンC3と中和薬搭載ドローンN3をティファールに向けて発進させた。
さて、ここからが作戦会議である。
私は提案した。
「この期に乗じてグランバル本国を落しましょう」
ゲンブ殿とビャッコ殿、そしてヘリで無線会議に参加しているセイリュウ殿は言葉を失った。
私は続けた。
「軍のほとんどは、ティファールに向けて出陣しています。本国は手薄のはず。グランバルの主力部隊が在留であれば、武力衝突の可能性もありますが、不在である今、衝突無しに制圧出来ます」
ゲンブ殿が反論した。
「今後アトラスは、同盟といった平和的外交で、他国を支配していく計画を進めています。アトラスは今現在、グランバルからの侵略行為は受けていません。侵略を受けた上での報復ならまだしも、ここでアトラスが一方的にグランバルを制圧などすれば、それは侵略行為と見なされ、他国は警戒し、今後の計画を大きく見直さなければならなくなります」
私はそれに対して意見を述べた。
「グランバルを制圧する国が、アトラスである必要はありません」
「……と、言いますと?」
「以前、ラィンテリアは、グランバルから侵略行為を受けました。その後、破壊工作員によって新都市を火の海にする計画を実行されました。そこで、ラィンテリアが表に立って重機部隊で報復します。グランバル軍兵士のほとんどは民間人です。帰る国グランバルが落ちたと知れば、一気に戦意は喪失するでしょう」
ビャッコ殿が発言した。
「なるほど。ラィンテリアの看板に隠れて、アトラスから重機部隊を出すという事ですな」
セイリュウ殿が、無線で伝えた。
「東の国は、スジャク殿に乗ります」
ビャッコ殿も発言した。
「西の国も乗ります」
ゲンブ殿も発言した。
「北の国も乗ります。では決まりですな」
ビャッコ殿が発言した。
「西の国は重機部隊を編成して、至急ラィンテリアへ向かいます」
セイリュウ殿が無線で伝えた。
「東の国も隊を編成し、我々はティファールの支援に向かいます。ゲンブ殿はこの国の防衛に当たられますよう、お願いしたく思います」
ゲンブ殿が言った。
「北の国は、この国の防衛に当たる事、了解した。スジャク殿、重機の操縦席は強化ガラスの窓で囲まれています。矢や槍等の攻撃では、びくともしません」
「それは心強いです。了解しました」
私は、ラィンテリアのコノエに連絡した。
「今からグランバルへ進撃する」
「なぁんとぉ!」
「有志でいい。命の補償は私がする。重機を操縦出来る者100人と重機100台、至急集めてくれないか!」
「了解であります!」
私は、アドミンさんに南部国の重機部隊を編成し、ビャッコ殿と一緒にラィンテリアへ向かうよう、指示した。
私とシノブはヘリで一足先にラィンテリアへ向かい、今回の一件、コノエに事情を説明した。
元グランバルからの難民が、有志として100人以上集まってくれた。
彼らはグランバル国内での土地勘がある為、非常に頼りになる。
重機で進撃するのであれば、負傷する気がしないとの事。まあ、そうでしょう。
・・・・・・
セイリュウ殿から無線が入った。
ティファール城に到着したとの事。
空から降りて来たヘリに、グランバル兵士達は動揺しているとの事だ。
ティファール王と王子の二人は、グランバルの使者達から降伏を迫られていた。
そこで、セイリュウ殿がグランバルの使者に伝えたとの事。
「自分はラィンテリア国の使いの者である。武器を捨てて投降しなければ、今ここに、死の雨が降る」
彼らは、その事を知っている。
以前、ラィンテリアに軍を派遣した時、数えきれないドローンが飛んできて、死の雨を降らせた事。
彼らはそれを、ラィンテリアの兵器だと思い込んでいる。
彼らが知らない事。
それはティファールとラィンテリアが友好国であり、その後ろにアトラスがいる事。
現在、話し合いは膠着状態に入っているとの事だ。
・・・・・・
一番機の助手席に、コノエが乗った。
二番機の操縦席にシノブ、助手席に私が乗った。
100台によるラィンテリア重機部隊がグランバルへ向けて進撃した。
その後ろに、南のアドミン隊300、西のビャッコ隊300の重機部隊が続く。
圧倒的な戦力を見せつける事で、相手に無抵抗のまま降伏させる。
この700台を超える重機部隊、表向きはラィンテリア部隊である。
私は重機天井デッキの上に立ち上がり、ラィンテリアの国旗を掲げた。
今、この大部隊の先頭で、ラィンテリアの国旗が翻る。
「「うおー!」」
先頭のラィンテリア部隊が拳をあげ、雄叫びをあげる。
国境を守るグランバル国の衛兵は大慌てである。
国境の正門を閉めるが、コノエが乗る先頭の重機で門を粉砕し、続いてどんどん中へ入って行く。
もう、圧倒的すぎて、誰も抵抗しない。
グランバル城の前に着いた。
700台の重機で城を囲む。
コノエの先頭重機が城の門を蹴散らし、どんどん中へ入っていく。
無傷で手に入れよう等といった考えはないので、使者を送る事もしない。
シノブが操る重機解体車両が、その巨大なアームを容赦なくぶん回し、グランバル城を粉砕する。
まったくもって、デタラメである。
慌てて国王自身が、白旗を持って飛び出してきた。
制圧完了である。
・・・・・・
グランバルを制圧した事を、セイリュウ殿に連絡した。
そのタイミングで、待機させていたドローンをグランバル軍の頭上に、空中で静止させたとの事。
そしてセイリュウ殿が、グランバルの使者達に伝えた。
「グランバル国が武力において手薄のあいだ、ラィンテリア国がグランバル国を制圧しました」
グランバル軍は、大混乱との事。
指揮系統が機能しない。
彼らは自発的に武器を捨て、投降しはじめたとの事だ。
ティファールのラムス王子は、ここで初めて妻のリオンが、アトラス四天王の一角であった事を知った。
ティファール王国は、アトラスの傘下に入る事を正式に決めたとの事だ。
これでアトラスは、ラィンテリア、ティファール、ステイン、グランバルと合わせて、この欧州の17%を制圧した事になる。
これによって他の小国も、アトラスと同盟を結びたいと希望する流れが出来るかもしれない。
などと考えていた時、シノブが険しい表情で私に言った。
「媛!」
「……はい」
「媛は今現在、ご自分の立ち位置、ご理解されているでしょうか!」
「……はい?」
「今や、媛が一声かければ、この欧州の17%が動きます」
「……いゃあ~」
ラィンテリア重機部隊が進撃してからグランバルを制圧するまで、約500文字。
アトラスの圧倒的な力を表現する為、文字数を削って削って削りました。
次回:首脳会議




