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⑶ これを期に

 問題は、これからである。

 バッタの大群。この農作物にとっての害虫をなんとかしなければ、この国を建て直す事は出来ない。


 指揮はミントさんにお願いした。

 大きな畑の中心に巨大な仕掛けを組み立てている。

 1辺10mの立方体。


 辺は強化プラスチックのような柱で、面は2層の網のようなもの。

 立方体の中心に誘光灯を設置。

 これを、広い畑20ヶ所に仕掛けた。


 そして、大型電源車20台を呼び寄せた。

 ミントさんは高台に立ち、各立方体に供給する大型電源車の操作員に携帯で指示を送る。


 陽が沈み、あたりは暗くなりはじめた。

 ミントさんが電源車操作員に指示を出した。

「バッタには可哀想だが、人間の糧になってもらう。誘光灯、点灯!」

 誘光灯が光り出した。


 何処からともなく、バサバサといった音が聞こえ始めた。

 バッタの大群が、誘光灯を目指して飛んで来る。


 ミントさんが、指令を出した。

「焼き払え!」


 大型電源車が、発電機の回転を上げた。

 誘光灯の周りの網に、8000Vの電圧がかかった。


 誘光灯を目指して飛んでくるバッタがその網に触れ、ショートして燃え上がる。

 バリバリバリといった音が鳴りやまない。

 すさまじい光景である。


 大型電源車の発電機が、更に回転を上げた。

「どーした、それでも世界で最も▽※な#%の$◇か!」

 なんか、最後良く聞きとれなかったけど、ミントさん、完全にキャラ変している!


「なぎはらえ!」

 ……なぎはらえって、なんかちょっと、言葉が違うよ、ミントさーん!


 バリバリと燃え続けるバッタ達。

 それを6日間続けた。

 ミントさんはそれを『火の6日間』と呼んだ。


 畑は、焼け落ちたバッタの死骸の山である。

 これを土に戻す。良質な肥料である。


 アトラスから、大型の耕運機20台と小型農業機械一式を輸送させた。

 そして、ラィンテリアから農学部卒業生を60名呼び寄せ、畑を耕し、農業機械を使った農業をこの国の農家の人達に教えた。


 アトラスから、この時期に合わせ、短期収穫可能な作物の種を輸送してもらい、耕した畑に種をまいていく。


 ・・・・・・


 それから3ヵ月後、大変な収穫量に、農家の人達の喜びの声は止まない。

 よし、これならいける。

 害虫駆除の手間とエネルギーはかかるが、それと引き換えに、良質の肥料が手に入る。


 この国を捨てて出て行った若者が、この現状を聞きつけ、次々と戻って来た。

 これを期に、この国の穀倉地帯を作り直す。

 作物の収穫量をあげて、アトラスに収めてもらう。

 綿密な復興計画が立てられた。


 さて、我々も引き上げる時がきた。

 だが、誰かがここに残り、統治しなければならない。


「ミントさん、あなたにこの国の統治、お願い出来ますか」

「えぇ? わ、私ですか」

「貴女は、私よりも判断力、実行力、優れています」

「いえ、そ、そんな」


「もちろん、貴女を支える者を本国から呼び寄せます。そしてアトラス国をあげて、この国を支えます。この国、治めて頂けませんか」

「は、はい、喜んで」


「貴女は、新生ステイン国の初代統治者です」

「し、初代統治者」

「もちろん、いつでも帰ってきて下さい」

「はい。ありがとうございます」


 という事で、本国から各分野におけるスペシャリストを280人呼び寄せ、私とシノブはアトラスへ戻った。


 ステイン国をアトラス国の傘下に収めたという事で、私の評価は一気に上がった。

 各四天王は知っている。アトラスが目指す先を。

 だから今回の件、本当の意味で高く評価された。


 3人の四天王から今回の1500万Gの融資、返済不要との申し出があった。

 さすがはミントさん。この計画が成功し、各四天王から返済不要との話になる事、見通していたようだ。


 また、私1人の活躍とするのではなく、4人の天王による成果とする。

 良かった。資金にも余力が出来た。これで、また動ける。


 今回、私とシノブの2人で行っていれば、このような結果は得られなかっただろう。

 そして、アドミンさん。融資のお願いを取り付ける為、各四天王に頭を下げてまわり、私を支えてくれた。


 『もう少し、我ら8人を使って頂いても良いのではないでしょうか』と言われた言葉を思い出す。

 これからは、もっと皆さんの力をお借りしよう。


 そんな中、とんでもない知らせが飛び込んできた。

 ティファール王国に嫁いだ元南の天王のリオンさんから、非常回線を使っての救援願いである。

 カオス様が、何かあった時の為に、携帯と中継機を送っていたようだ。


 突然グランバル軍が、ティファール王国の国境付近まで押し寄せて来たとの事。

 これは明らかに、ティファールへの侵略行為である。


 かつて、ラィンテリアに攻め入ろうとした軍事大国。

 破壊工作員によって、新都市を火の海にしようと企てた国。


 四天王の広間で、緊急会議が行われた。

 リオンさんが嫁がれた所という事もあるが、何にしてもティファールは、アトラスが傘下に収める予定の国である。

 その為の投資も行っている。

 ここで横取りされるのを、やすやすと見てはいられない。


 東の天王 セイリュウ殿が言った。

「元南の天王には、色々と便宜を図って頂いた」


 アトラスが、ティファールへ救援に動く事、全員一致で可決した。


次回:グランバル軍事大国

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