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第55話 貧乏村の願い

うーん。このあたりは作物もあまりとれないのね。


村を見下ろす小高いところから眺めている。

他の村なら、周りに畑があり作物が植わっているのに、この村はあまりない。


「ずいぶんと貧乏な村みたいね」

「はい。恥ずかしながら」


横で話を聞いているのは、村長さんの息子。

次期の村長さん、というところだろう。


「村は何人くらいいるの?」

「現在、85人です」

「そこそこ、いるのね」

「だけど、ほとんどが子供です」


男も女も働けるようになると村を出て行ってしまう。

だから、残っているのは子供と少数の老人だけ。


「村はどうやって収入を得ているのかな」

「働きに出て行っている人の仕送りが主ですね」


子供を村に預けて出稼ぎ。

それがこの村の現実だ。


「だけど、里山があって季節、季節で色んな物が獲れるですよ」

「へぇ、自然は豊かなのね」


この村は男爵領の中で一番奥にある。

山の中腹で、ここより先に人が住んでいる集落はない。


「さて。子供達に期待ね」

「ええ。きっと素晴らしいアイテムを出してくれるでしょう」


ふたりで村に向かっていった。



「はい。並んで。あ、ダメよ、横入りは。後ろに並ぶの」


子供達が20人、並んでいる。

この集落に住んでいる子供はすべて集まっている。


「君は何が欲しいのかな」

「僕は弓矢。狩人になりたいの」


自分で作った弓と矢を持っている子が言う。

たしかにちゃんとした弓矢があれば、優秀な狩人になれるかも。


びかっ、ころころ。


《達人の弓:☆☆☆》


「やった。弓だ。でも、大きすぎるから、まだ無理かな」

「どうかしら。軽く引いてもちゃんと飛ぶはずよ、それ」


☆が3つなら、子供が使ってもなんとかなる可能性ありだ。


「本当だ。僕でもちゃんと飛ぶ」


うん。君は将来、狩人になって大きな獲物をしとめられるようになりそうね。



「君は何が欲しいの?」

「おばあちゃんの薬」


おばあちゃんが病気がちだから、それが治る薬だね。

うん。やさしい子には、ちゃんと出るはず。


ぴかっ、ころころ。


《全快の水薬:☆☆☆☆》


「ほら、出た。この薬でおばあちゃんの病気は完璧に良くなるわ」

「おねいちゃんありがとう」



「君は何が欲しいの?」

「ママ」

「えっ?」

「ママ、死んじゃったの」

「あー。それは・・・」


うーん。死者再生はさすがにガチャでは無理だな。

どうなるのかな。


ぴか、ころころころ。


《ママからの手紙:☆》



なんだろう、これ。

手紙、それも死んだお母さんから?



「ママだ。ママの手紙だ」


うーん、そうなのか?

どうなのか・・・まぁ、喜んでいるからいいか。



子供20人はそれぞれの願いに合ったアイテムをもらって喜んでいる。


季節外れのサンタクロースって感じね。



「さて、あなたの願いは?」

「えっ、僕ですか?」

「あなたも、ぎりぎり子供ということで。いっかいどうぞ」

「ありがとう」

「で、願いは?」

「そうですね。村の大人たちが出稼ぎにいかなくても生活できるようになればうれしいんですけど」

「いい話ね。子供達、寂しがっているしね」

「はい」


では、それを実現するアイテムということでお願いしてもらった。


ぴかっ、ころころころ。


《探索の杖:☆☆☆☆☆》



「あら、今日の一番☆が多いアイテムが出たわね」

「はい。これはなんでしょう?」

「探索の杖だから、心の中でイメージした物を探せる杖、だと思う」

「へぇー。そうなると、村の特産物もこの杖で見つかるかな」

「できるはずよ。☆5つだしね」


もしかたら次期村長のこの少年が村の未来を変える何かを見つけてくれるかもね。

楽しみにしていよう。


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