第51話 ケルベロス討伐
「ガルルルル」
ナナオちゃんが唸り始めた。
「何?ケルベロス?」
「ガォッ」
どうも、そうらしいわね。
ナナオちゃんの毛が逆立ち始めている。
ケルベロスの気配を感じているみたい。
「みんな、ケルベロスが近いわよ」
「「「おう」」」
ナナオちゃんが方向転換して斜めの方向へ入っていく。
「みんな、こっちよ。ついてきて」
「お、おい。待ってくれ」
先行していトウラゴットは引き返してくるから、最後尾になる。
当然の様にナナオさゃんが先頭。
黒い影を発見。
3つある。
「いたわよ、あそこ」
「「「おう」」」
「ナナオちゃん、止まって」
ナナオちゃんが急停止した。
トウラゴットと合流するのを待つ。
「ふう。やっと追いついた。どこだ?」
「あそこよ」
作戦は出発前から決めてある。
公爵様が1頭を相手して、ナナオちゃんが2頭を相手する。
アルベルトは予備扱い。
「いくわよ」
と言ってもクリスはナナオちゃんを降りて、アルベルトと一緒に予備扱い。
ナナオちゃんと一緒だと足をひっぱるだけだ。
「がぉぉぉぉーー」
ナナオちゃんが咆哮をあげる。
「ぐぁーーー」
ケルベロスも咆哮で返してくる。
いよいよ、闘いだ。
ケルベロスは黒い犬の魔物で頭が3つある。
火を噴くという噂もあるが、実際はそんなことはなく、牙と爪が武器だ。
トラウゴットは、剣を構えて近づく。
3つの頭が牙をむいている。
ケルベロスの直前で大地を蹴り飛び上がる。
落ちる力を利用して、真下に構えた剣でひとつの頭を狙う。
驚いたケルベロスが上を見ているところを頭のてっぺんに剣をぶち込む。
ひとりの頭がぐったりした。
ただ、2つの頭が左腕と右足に噛みついてくる。
フルプレートの鎧なので、金属部分でガシッと受け止める。
「お前もだ」
もうひとつの頭に剣で叩く。
駄目だ、ビクともしない。
金属の鎧がギシギシ言いながら変形を始める。
すごい噛みつき力だ。
左腕を振り廻して噛みついた頭の首筋を剣に晒す。
同時に右腕に持った剣で首筋を刺す。
「ぎゃん」
声を立てて、噛みつきが解除された。
右足のも同じ様に首筋を狙う。
ヤバイと感じたのか、噛みつきをやめ、距離を取る。
ナナオちゃんに向かっていた2頭のケルベロスは、1頭がナナオに胴体を齧られている。
残り1頭が噛みつこうとしているときに、右腕の爪で胴体をやられる。
「すごい。二人とも」
観戦だけしているアルベルトとクリスはトラウゴットとナナオちゃんの戦いぶりに驚きを隠せない。
「形勢はどうかな?」
「今はこちらが有利です」
ただ、何が起きるか分からないので、クリスはガチャ樹をセットしておく。
まずい状況になったら、いつでもガチャが使える様にしておく。
ただ、今回はガチャは必要なかった。
まずは、トラウゴットが1頭を倒し、ナナオちゃんに加勢して2頭を倒した。
「ふう。なんとかなったな」
「トラウゴットさん、すごいです」
「ああ。若返ったこの身体、強靭だからな」
若返っても戦い経験を忘れる訳ではないので、剣士としてのレベルは高いまま。
身体が若返ったことで、力や敏捷性が上がっている。
「やっと、昔の感覚を思い出してきたぞ」
S級冒険者と言われていた頃のパワーがよみがえっているらしい。
「さて、帰るか」
今回の目的はケルベルスの討伐。
他に目的はない。
もうひとつ。
目的があって、ケルベロスの魔石。
倒したケルベロスの中心にひとつづつ、全部で3つある。
これをお供え物にしたら、ガチャで何が出てくるのか。
魔石をお供え物にしたことはない。
何が起きるのか、ちょっと楽しみ。




