第50話 魔物の森の奥探索
「さぁ、いきましょう」
真っ赤な鎧に身を包んだトラウゴット公爵がノリノリで先頭を走りだす。
今や、公爵様は引退を考えているともっぱらの噂だ。
公爵様は人前に出ることがなくなって、息子のローランドに公式行事を任せてしまっている。
実は25歳も若返ってしまって、誰も公爵様だと思わなくなってしまったというのが現実だ。
「ほら、いきなりツインホーンがお出ましだな。これは俺の獲物だ」
「ちょっとトラウゴット。先走りしないでよ」
青い革鎧のアルベルトが文句を言う。
本当のことを言えば、危険だと言いたいがトラウゴットはひとりだけレベル67。
このあたりならひとりでも危険というほどのことはない。
トラウゴットが闘っているツインホーンは馬の魔物。
額に二本のツノが生えている。
性格は狂暴でツノで刺されたら甲冑を着ていても危険だ。
しかし、トラウゴットはツノを避けて横につけて、そのまま馬乗りになら、首をあっさりとはねた。
「次いくぞ。魔石や素材の回収はまかせた」
どうせ、俺は回収係だよ、とアルベルトは自虐ぎみ。
どう考えても、レベルが50も違うトラウゴットとは違いすぎる。
「ちょっと待ってよ公爵様。私もいくから」
そう言ってケモノに乗って後を追うのがガチャ師のクリス。
トレードマークのピンクのナップザックを背負っている。
乗っているケモノは、ナナオちゃん。
魔物の大狐でしっぽが7本もある。
魔法だって使えてしまう。
だけど今は、狐使いのブローチをしたクリスの忠実な下僕。
魔物の丘からさらに奥。
魔物の森の中心部に向かって走っている。
ほとんどの魔物はナナオゃんが近づくと逃げていく。
戦闘になりはしない。
このふたりがパーティ戦力の中心だ。
あと、今回は剣士のアルベルトと僧侶のコルネリアが参加している。
Bクラスのパーティがケルベロスを発見したと報告があったから、クリス達の参戦を決めた。
ケルベロスはBクラスの3人で1頭くらいで対等なAクラス魔物。
それも、1頭ではなく3頭もいたらしい。
「ケルベロスに勝てますか?公爵様」
「何をバカなことを聞いている?私はドラゴンさえも倒したことがある男だぞ」
まぁ、20年前でしょうが・・・
大丈夫なのかな。
それでも、森の中を高速で走り抜けていく公爵様はカッコいいな。
後ろからナナオに乗って追いかけていると、飛び掛かってくる魔物をばっさと切り落としている。
ほとんどが瞬殺だ。
ケルベロスが発見された地点にだんだんと近づいてくる。




