第49話 冒険者ギルドの噂
「だからよ。とにかく、魔物の丘に行くとさ。スペシャルアイテムが手に入ると言う訳よ」
「本当かな」
「嘘だというのなら、これ見なよ」
そういうと剣を取り出してみせる。
もちろん、ドヤ顔で。
「この剣は炎の剣と言って、火の属性を持つ剣さ」
「おい、それどうしたんだ?」
「魔物の丘のスペシャルアイテムよ」
「・・・お前程度にそんな剣買えるはずないよな」
「無理、無理。属性付きの剣なんて俺らレベルの冒険者が買えもしないし、ドロップする魔物に勝てるはずもないし」
「だよな」
冒険者ギルドでは、今、魔物の丘の話で持ち切りだ。
魔物の丘は強い魔物が出る反面、特別なポイントがなかった関係で、迂回する冒険者が多かった。
しかし、今では魔物の丘が一番人気のスポットになってしまった。
おかげで魔物の丘までの経路の魔物出現率が極端に下がっている。
冒険者達に狩られてしまって、いなくなっているのだ。
「今なら、それほどレベルが高くなくてもいけてしまうってよ」
「どうしよう。僕らでもいける可能性があるってこと?」
魔物の森の入口近辺にいた低レベル冒険者さえも魔物の丘を目指している。
危険はあるが、スペシャルアイテムを手に入れれば、その後がすごく楽になるからだ。
「でも、ハズレもあるって聞いたぞ」
「あ、俺も聞いたことがある。たしか、剣が欲しいと言ったのに、焼き鳥の串だったって」
「うわ。それはひどい。串って」
大笑いが冒険者ギルドに響く。
「もし、俺が串を引いてしまったら、冒険者ギルドに来れなくなるな。恥ずかしくて」
「だな」
そんな話を苦々しす顔で聞いていた男がいた。
彼こそ、ミスター串を呼ばれる様になってしまった男だ。
「次こそは素晴らしい剣を引き当ててやるからな」
そう心に誓っているのだが。
彼はまだ知らないが、魔物の丘のスペシャルアイテムにはルールがあった。
最初に来たときだけガチャが引ける、と、いうことを。
彼がミスター串を卒業する日は来ることはない。
それを知ったときも彼はどう思うのか?




