第38話 魔物の森へ第一歩
薄暗い森の中を歩く。
ききききー。
「きゃっ」
「大丈夫ですよ。普通のサルです」
クリスと一緒にいるアルベルトが教えてくれる。
青い盾を持った剣士だ。
「でも、魔物が出るのよね」
「先行しているヨハイム公爵達が追い払っているから、いませんよ」
「それならいいんたけど」
前衛としてヨハイム公爵と剣士のダニエル。
このふたりのペアは強力だ。
「いたぞ、そこ」
「なんだホーンラビットじゃないか」
「私が行きます」
まだ駆け出しとは言え、剣士をしているダニエルにとって、ホーンラビットはただの獲物。
黄色い剣を突き出して、一撃で退治する。
「この剣、切れ味が違いますね」
「まぁ、鉄の剣と比べたら格段の違いだろう」
魔物の森に入るにあたって、ガチャで引き当てた剣。
レア度は3だ。
「次は私がいくぞ」
ヨハイム公爵も自らの剣を使ってホーンラビットを倒す。
「久しぶりだな。この感覚」
「20年前を思い出しました?」
冒険者をしていた20年前。
しかし、公爵になってからはあまり剣をふるうこともなくなった。
「まぁ、ホーンラビット程度では役不足だけどな」
「ですよね。ドラゴンキラーとしては」
そんな気楽な話をしながら、前に進んでいく。
すでに1時間ほど森を歩いているから、あと2時間もすれば丘が見えてくるはずだ。
「私達の出番はあまりなさそうね」
「そうですね」
公爵達から少し離れて、レオンとコルネリアが歩く。
緑の杖を持っているのが魔法使いのレオン。
その横に白いロープを着ているのが僧侶のコルネリア。
剣士3人と魔法使い1人と僧侶が1人。
平均的な冒険者パーティだ。
それにクリスがプラスされている。
ガチャ師クリス。
戦いにおいてはほとんど役に立たないと思われている。
護衛する対象だ。
もっとも、公爵以外はそれぞれ装備品をガチャで2、3品出しているので、ガチャ師の効果は得ていると言える。
「出たぞ、ワイルドボアだ」
「行くぞ、ダニエル」
「はい」
ふたりの剣士にかかったらワイルドボアも簡単に倒されてしまう。
獲物のひとつだ。
「でも、こいつくらい公爵様だけでも余裕じゃないですか?」
「もちろんだ。お前の経験値稼ぎの手伝いしているんだよ」
「ありがとうございます」
年齢差が25歳あるヨハイム公爵とダニエル。
だけど同じ冒険者として今はここにいる。
魔物の森の丘に向かう道は何の問題もない様に思われた。
しかし、そうではなかったのだ。




