に 秘密
謎に包まれた博士の日記。
それは一体、何なのか……。
マルスタウンから、数キロ離れたところにある基地の中。
急いたような誰かの心の声が聞こえてくる。
(早く……!司令官にお見せせねば……!)
一人の男性がどこかに向かっていた。恐らく、兵士の一人だろう。
胸ポケットには、勲章らしきものが付いていた。
(ノイ博士から頂いた設計図を……!!)
男は廊下を早歩きで歩いていく。
手に持っていたのは一枚の紙。
しばらく歩くと、男は歩みを止めた。
(さぁ、行こう……)
ゆっくり深呼吸して、扉に向き合う。
ドアを二度ノックする音が、廊下に響く。
「失礼します!」
「誰だ?」
軍服を着た若い兵士が、脇に何かを抱えていた。
「ウォンナです!設計図をお持ちしました」
「……入れ」
部屋の中に入ると、上司らしき人物が椅子に座っていた。
「ご苦労だったな」
「これも作戦の成功のためですから」
抱えていた設計図を机の上に広げ、中を確認する。
「やはり…ノイ博士には頭が上がらんな」
その言葉を聞いた兵士は、ふっと笑みを浮かべた。
「ええ……宇宙船を最初に生み出した人ですから」
「この作戦は大いに期待できそうだな」
司令官らしき男は、ウォンナという兵士にこう告げる。
「……これらは誰にも知られてはならないからな」
「はい!デメロ司令官!内密に、ですね」
「知った者は、すぐに死刑だ」
何やら大人たちの世界では、何やら秘密の作戦が動き出しているようですね……。
子どもたちはどうしているでしょうか?
少し移動しましょうか。
朝の幼稚園に、子供たちの弾んだ声が響き渡る。
「あーそーぼー!」
「トゥトゥくん!いいよ!」
「やったぁ!」
「あれ?わたしちゃんは?」
「ココくんのとこ」
「どこにいるの?」
ココは遊具の中で、体育座りをしていた。
「……落ち着くなぁ〜!!」
「ココちゃん、それたのしい?」
隣で足を崩したわたしが、
不思議そうに顔を覗く。
「悪くはないよ」
「ふーん」
「わたしちゃんもやる?」
「やだぁ!」
ココとわたしは人が少ない遊具の中で遊んでいた。
暗いトンネルに、二人の声が響く。
「ふわぁ…」
「どうしたの?わたしちゃん」
「ね、ねむたいの……」
目をこするわたし。
どうやら寝不足のようだ。
「たまにあるよね?」
「うーん……」
「なんでねむいの?」
「ぱ、ぱぱが…」
「パパ?」
「わたしにちゅーするの…」
わたしちゃんの母親が再婚して五か月経った。
新しい父親は、スキンシップが多いらしい。
「それって、うれしいことじゃないの?」とココが聞くと、
わたしちゃんは激しく首を横に振った。
「ううん、ママもいやなかおしてる」
「ええっ!?」
驚いたココに向けて、人差し指を立てるわたしちゃん。
「ないしょだよ ぜったいに《《ひみつ》》よ?」
「うん」
そのままわたしちゃんは続けた。
「ぱぱ…さいきん、よるになるとさけぶの」
「へーっ……」
「それでね、そのあとわたしのへやにくるの」
「なんで?」
「ううっ……!」
するとそれを思い出したのか、泣きそうな顔でココを見つめた。
ふるふると小さい肩が震えている。
「わ、わたしに…なんかいも、ちゅーするの……」
「パパが?」
「だいすきだよ、あいしてるよ、って…」
「……」
二人の間に、長い沈黙が流れる。
「それ、おかしいよ」
「……え?」
重い空気を割くように、ココが口を開いた。
「ぼく、わたしちゃんのパパとはなしたい」
「ええーーっ!?」
「どうしてそんなことするのか、きいてみる」
素っ頓狂な返事をするわたし。
対するココの表情は真剣だった。
「ママもいやなことされてるのなら、とめなきゃ」
「で、でも……」
ココちゃんはわたしちゃんの手を、強く握る。
「だいじょうぶ!ぼくがなんとかするよっ!」
「ココちゃん……」
にっと笑って、小指をわたしちゃんに向けた。
「ぼくとわたしちゃんとの《《ひみつ》》だよ」
「う、うん……」
照れたわたしちゃんは、ぷいとそっぽを向く。
そして、そっと横目でココの顔を見つめていた……。
読んでくださりありがとうございます!
未熟者ですが、丁寧に一歩一歩前に進んでいきたいと思います。




