いち ココのおともだち
皆様ようこそいらっしゃいました!
火星観測を始めましょう!
何やら公園に人の声がします。
早速、覗いてみましょうか……。
静かな火星の朝。小さな公園にて。
赤い地面の上を走る小さい男の子が、
木の下にいる少女に声をかけた。
「……おはよう!わたしちゃん!」
白い長髪を揺らしながら、
ココが元気よく手を振った。
「おはよココちゃん」
「今日ね、ぼくがんばったんだ!」
「ふーん……なにを?」
首を傾げるココの友人、わたしちゃん。
風邪で三つ編みのおさげが揺れる。
「朝、ぼくきらいな《《おやさい》》…たべたんだ!」
「たべたの?!えらいじゃん!」
「えへへっ…!」
「……でも、わたしのほうがえらい」
「えっ?」
「だって…」
わたしちゃんも、
何かをがんばったみたい。何だろう?
「ココちゃんがくるの、
ここでずっとまってたのよ?」
「ご、ごめんよ…」
「じかんは守らないとダメだよ?」
「う、うん」
「まさか、ママに起こしてもらった?」
「うっ……」
くすっと手元を隠しながら微笑むわたしちゃんに、
顔を赤らめるココ。どちらも見ていて微笑ましい。
「こ、これから気を付けるよ…」
「あったりまえよ!なに言ってるの!」
「うぅ……」
「ま、いいわ…この話おわりっ!」
わたしちゃんは背負っていたリュックを
地面に置き、レジャーシートを勢いよく広げた。
小さな砂埃がココを襲う。
「おりゃぁ!」
「――けほけほっ!」
わたしちゃんが手招きして、ココを誘う。
「ココちゃんきて!」
「う、うん!」
「みて!これ!」
リュックの中身を全て取り出し、
シート全体に広げる。
取り出したのはお菓子やおにぎり、
おもちゃ、日記帳だ。
「わたしちゃん、この本誰の?」
「これ?はかせのお庭にあったの!」
「え!!」
「こっそりひろっちゃった!」
それを聞いたココは、
険しい表情を浮かべた。
「わたしちゃん…ダメだよ!」
「え?ダメなの?」
「今すぐに返しに行こう」
「やだ!せっかくみつけたのにぃ!」
「返さないと、もっとおこられるよ…?」
「い、いやっ…!」
「でも……」
「一回、お菓子たべてから返すから!」
「わかったよ」
レジャーシートの上で、
ココは煎餅をぱりっとかじった。
わたしちゃんはその顔をじっと見つめる。
「これもたべていい?」
「……い…いわよ」
ココはお菓子を次々と口へ運ぶ。
その様子を見れば、
よほどお腹が空いていたのだろう。
「とってもおいしいよ!」
「……ほんと?」
「ほんとだよぉ!」
「ふん……!」
「おいしいなぁ」
不服そうにしながらも、
頬を赤く染めるわたしちゃん。
実はこの日の為に、
ココには内緒でお菓子を選んで買ってきていた。
「おにぎりもおいしい!」
「それ、ママがつくった」
「おかわりある?」
「ない」
お菓子を食べた二人は、
お互い持ってきたおもちゃで遊び始めた。
宇宙船を持っておいかけっこしたり、
おままごとで遊んだり、
とんとん相撲をしたり……。
「強いなぁわたしちゃん」
「わたしの勝ちーー!」
楽しい時間はあっという間に過ぎていきます。
大人になると、楽しくない時間でも
あっと言う間に感じてしまうもの。
不思議ですねぇ。
「よいしょ……」
「わたしちゃん!?」
遊ぶのに飽きたのか、
突然日記帳を開いたわたしちゃん。
「みてみようよ!」
「えーっ……」
「これ、なんだろ…?」
「おふね?かなぁ」
「これ、もじだわ!」
「ぼく よめない……」
二人は日記帳をまじまじと見つめる。
日記には、不思議な絵とびっしりと文字が
敷き詰められていた。
見たこともない複雑な記号に、
博士が書いたであろうメモが書かれている。
「「なんだろう……」」
一体、何が書かれていたのか……。
今回は、ここまで。
さて、二人には何が見えていたのか……。
次の観測まで、お待ちください。
望遠鏡のお手入れを、
しっかりしておきますから。




