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本編第2回 二郎は叔母さんのところでお嬢様接待と男女平等について話す

第3話 本編第2回 二郎は叔母さんのところでお嬢様接待と男女平等について話す

 龍の口家は、鬼頭家の住むマンションから800mほどのところにある屋敷で、現在は双子の姉と弟だけが住んでいる。和風のはずだが、なぜか裏手にはスポーツジムレベルのトレーニングマシン一式があり、男女別のトイレと風呂まである。トレーニング設備はかなり高価なものらしいが自分にはわからない。高級外車くらいらしいが、高級外車の値段も自分にはわからない。

常時20人くらい出入りしていて食事とトレーニングをしている。自分や犬山もこれに便乗したうえで、日々の勉強をしている。はっきり職業がわかるのは自衛官や消防士だが、それ以外はよくわからない。バスが1台2000万円、N700系新幹線車両が1台3億8000万円というのはバスマニアや鉄道マニアの友人から聞いてなんとなく知っているが。

 叔母の龍の口華子はなこ及び叔父の太郎は36歳。叔父は弁護士をしている。

叔母は、独身の会社経営者であるが、自分が生まれたときから自分を猫かわいがりしている。そのころからあとで叔母の両親(自分からみると母方の祖父母)があいついで病気となり、司法修習を終えたにもかかわらず、弁護士登録もせずに介護と事業承継に専念し、看取り後も、受け継いだ事業をやっているうちに現在にいたっているようだ。ケアの本能も強いタイプなのかもしれない。自分の勉強机と本棚がこの家にあったりする。マンションにも自分の部屋はあるが、プライバシーがないので、こちらが実家に思える。自分としてはマンションのほうは世を忍ぶ仮の実家だと思っているし、友人にもそう言っている。

昨年の4月に、変なことで口走ったしまった10代で弁護士になるといったため、それを実行するための修業がはじまってしまった。修業開始から数日してから親戚の高校2年。当時は高校1年の犬山が加わった。学校がビデオ講義のときは1日15時間程度いっしょにすごしていた。食事もほとんどこちらでとるようになった。ここ2日は修業が休みで自分としてはほんとに数少ない休日であった。

叔母さんは、コスプレが仕事の一種のようだが、いまは「赤毛のアン」を観て、アンのお茶会をやっているらしい。叔母さんは180センチ100キロのマッチョタイプだ。

 年齢的にも体格的にも美貌格差的にもかなり無理があるようには思える。赤毛のアンのインギリッシュティータイムの解説本では、福原遙がアンのコスプレをしていた。

福原遙は好きな男性のタイプが又吉直樹らしいが、これは自分にもワンチャンスあるかも…ということだろうか。雑念ざつねんがでてしまった。思い込みのはげしい性格(母も叔母もそう)、つっこむのはやめにする。思い込みの激しい性格は妹にも遺伝しているフシがあるのが心配だ。自分には遺伝していないと思う。

コスプレのショーのステージでの出オチ要員というのを承知でやっているのならいいのだが、そうでなくてヒロイン要員と勘違いしていた場合、うかつにおもろいでんなあ、などと口ばしると龍の逆鱗げきりんに触れる恐れがある。自分は見たことはないがドラッグクイーンのショーを連想してしまっている。

犬山さとわもお茶会の相手をしている。アンの心の友ダイアナの役らしい。こちらもコスプレをしている。20世紀初頭のカナダの服装らしい。

自分は、叔母さんにはいろいろと借りがある。「エキセントリック少年ボーイ」を鼻歌で歌ってしんまう。実質半分くらいは叔母さんに育ててもらったようなものだ。

 叔母さんは司法試験に合格して修習も終えたが、弁護士登録をせずに会社経営をしている。合格体験記あるいは不合格体験記を必ずかくか、あるいはライターにみせる、というっことで出版社の原稿料というかたちで出版してうちとして叔母さんや叔父さんがチューターをしてくれている。

 1年半前には8000時間の重みとかプライバシーを切り売りがいかにつらいことを自分は理解できていなかった。現在5000時間程度勉強している。よく精神も身体ももったなあ。

 おかげで自分と犬山は相当な瞬発力のある身体を有するようになり、理屈バカになっているらしい。自分はぜんそくのせいで気管支が狭く息が切れるので、犬山ほどの持続力はない。

 叔母さんと犬山は優雅にイングリッシュティータイムをしようとしていたところだった。

 自分はおやつでおなか一杯なので特にお相伴しょうばんに預かるつもりはない。

 スコーンと紅茶だが、スコーンにも紅茶のいれかたにも相当拘こだわっているようだ。

 茶葉の蒸らしが完了したくらいのときだったようだ。

あら、二郎ちゃん、どうしたの、涙目で。そうか、またお姉さんに言い負かされたうえに、ひどいことをいわれたのね。包茎とか短小とか言われたの?

叔母さんは、おもいだしたように鼻歌を口ずさんでいる。


犬山はデリケートな話題にしても赤面もせず、ゆっくり紅茶を嗜んでいる。


いえ、そこまでは言われていませんし、母は、そこまで知りませんし、自分は包茎でも短小でもありません。それと大きなイチモツをください…というのは淑女しゅくじょが口ずさんではいけない歌だと思います。


まあ、そういうことにしておくわ。家でごろごろしていたら、バレー部と自分の息子のふがいなさに腹をたてていたところでやつあたりされたのね。わかるわあ。

 

 あの、後ろのほうに余計なものがくっついていますし、それに同感するというのは叔母さんの本音ですよね。自分、少し涙目になっている。


あのね、鬼頭家で、床でごろごろできるのは二郎ちゃんの特権なのよ。武家とか士族だと家のなかでも、病気でもなければ、そんなだらしない姿をうちのグループでは見せてはいけないものなの。子供のころからの病気があるから仕方ないけど、寝そべり族なんてこてばもありし、あまり見せていい姿じゃなかったわね。

 それに歳とると肉体的にも硬い床がしんどくなるのよ。身体のクッションがきかなくなっているのようね。

 世間のこととか自分の身体のおとろえとか、怒りをコントロールできない自分へのいらいらが二郎ちゃんにやつあたりさせたのよ。更年期になったら、、ますます感情のコントロールがきかなくなるひともいるから(※注 一部の事例です)ね。

えええ、薩摩武士やローマの貴族は寝転んで食べたり談笑だんしょうしていたのに。そんな理不尽な。


どうしてもベッドや寝床で本を読みたかったらネットカフェにいく手もあるわよ。


自分、月4500円の小遣いです。


あら、健全な両親ね。中三になっても小遣いを増やさなかったのね。こどもに贅沢させないのね。女子ならそれだと下着や生理用品でお金が足りなくなるわね。


自分の下着は無印良品です。自分に3時間1000円くらいのネットカフェは贅沢品です。どうしても読みたい本があって、お年玉があったときくらいにしか行けません。


ああ、メガロ(岡山市にある単独のメットカフェ)は10万冊蔵書があったわね。


そこへ電話がかかってきて、叔母さんがでる。話しているうちに、みるみる機嫌が悪くなっていく。


 はあ、本家の三姉妹の旅行先で食中毒がでた?で、今年の担当は岡山県になった?18年前にやったんだから、次はあと10年後でしょう。少子化の関係で同い年を3人一族でそろえることができて、関東地方から十分遠いのが岡山だけ?

でも、こちらだって忙しいのよ、1週間も添乗てんじょうしてガイドやボディガードはできないわ。

だいたい、ボディガードとかはどうするのよ。ついてくるの?

いまの本家の経営形態だとボディガードは特に必要ないって?

まあ、それならいいわ。特別ミッションはわたしか太郎か鬼頭か犬山の夫婦ね。

16歳になっている子が1人いるのね。こっちも1人いるから、まあ、竜の口家のことはわかっているわね。

だとしたら、ひどい目にあうのはあまりいないかな。


叔母さん、なんで、こっち見るんですか。


準備期間1週間、実際の旅行は1週間ね。

 それでどれだけ有益なことができたか一族の総会で報告ね。

今年は7家のコンペティションね。

詳細はメールね。じゃ、こちらも根回しするわ。

ああ、もう、お茶会のさなかに重たいミッションがくるなんて最悪だわ。優雅でないわね。


サンドバックを少し蹴ってくるわね。

わりとスペースをとるサンドバッグは常時裏手の事務にはおいていない。わざわざすえつけてパンチはキックをしているのだろう。バシバシと重たい音が聞こえてくる。

 あれがあたったら素人なら骨が折れそうだ。


 投げ飛ばし用の人形ヨシヒコ(元プロレス王者やらしい、どこで購入したのだろうか)があったが、あまりに乱暴に扱ったため、現在修理中のようだ。自分は叔母さンに投げられるときでもだいぶ手加減されていることはよくわかっている。



 その間犬山と二人だ。いろいろと説明してもらう。

まずはおさらいで、竜の口家は本家は7家にわかれていて、今回岡山勢が関係するのは南家のお嬢様3名の1週間の旅行である。毎年なんらかの課題をしたうえで、総会の時に発表し、順位を決めて表彰する。

 一族は10兆円とも20兆円とも言われる資本を有するが、表だって活動することはない。一流企業の会長や社長はしない。平取締役ひらとりしまりやく監査役かんささやくどまりだ。上場企業の大株主としても竜の口が表にでることはない。トンネル会社をいくつか通したかたちになる。

ただ、この研修旅行での成果をみたうえで、一族のなかでの役職を決めていく。一族の危機のときに権力が集中するひとをあらかじめ決めておくらしい。

 南家には末に男の子がいるので、今回の3人は跡取り候補ではないせいか、ボディガードは本来つかないはずだが、1人岡山の送迎まではつくらしい。少なくともお嬢様のうち1人は南家の当主に溺愛できあいされている可能性がある。貴族のお嬢様のように乳母が成人してもつきっぱなしというようなことはなう、実際竜の口家は乳母を使う本家はいないらしい。執事はいるが、こどもの関係までは口をだなさにらしい。

 3人ともお嬢様高校や中学に通っているので、礼儀は正しいはず。


 お嬢様か、自分の廻りには全くいないタイプの女性だ。口やかましくて理屈っぽくて手がはやくて、乱暴で力が強い生意気な女性ばかりだが、少しは、優雅でものしずかで、豊かな感性をもつ女性もいるのではなかろうか。

て、幸せな家庭が作れる夢をむることができるのだろうか。

 昔のアイドルみたいに大小便もしないし、生理もないんじゃないだろうか。


 犬山が自分をなんか、生暖かい目でみている。


お嬢様に夢を見ているようだけど、おもしろいから黙っておくわ。


いや、いま、口に出してますいやん。


犬山は16歳になっているから竜の口家の内情はわかるんだろうけど、いったい何がおきたのか、話していい範囲で教えてくれないか。自分もなんかひどい巻き込まれ方をするみたいだし…


 今年は庶民の暮らしというテーマね。

 で、岡山で犬山さとわ、鬼頭二郎、鬼頭美羽がお嬢様と同じ学年なのでエスコートすることんあったわ。


 これ、男子だったらエスコートとかあるんですか。


 特にないわね。13歳以降で、自分の身を自分で守れない男子は本家には不要ということかもしれないわ。二郎ちゃん、本家に生まれなくてよかったわね。


 えええええ、不公平じゃないですか。


 何言っているのよ、女子の大変さが全くわかってないわね。

 去年女装したときにコスメと衣服の大変さはわかったでしょうに。


 嫌なことを思いださせんといてつかあさい。


 生殖可能な女子は、男子とちがって膀胱が小さいし、腸の蠕動ぜんどうが少ないし、毎月月経が1週間程度あるの。二郎ちゃんだとトイレは8時間に1回だし、男子だから便秘もないから大便でも時間はそうかからないわ。便秘の女子が大便をするときは20分以上かかるわ。

二郎ちゃんは人前で小便はできても大はできないでしょ?まあ、洋式便器しかつかったことがないと野糞のぐそができないひともいるけどね。蹲踞そんきょ姿勢がひざが硬くてとれないのよね。


 優雅なお茶会で野糞のはなしになってしまった。


 女子にとっては小用も含めて男子の大便レベルで恥ずかしいことなの。

 生理でも多いときは1日6回くらいトイレに行かなければならないし、それも男女共用とか女子トイレに長い長い列をつくるということになるとたまったもんじゃないわ。

 スカートをはいたときに歩くのに走るのも不便だったでしょ?


 太ももにまきつく感じではやく歩こうとしても無理だった。あれでヒールの高い靴だともっと動けない。爪先も痛くなったな。


 爪先が痛くなるのは体重のせいもあろうけどね。女性の衣装がわりとスカート型で世界共通なのは意味がわかる?お粗相そそうをしたときのための


お粗相ってなんすか?


 お、お嬢様用語だったかもしれないわね。庶民男子にはわからなかったか。


ぐぬぬ。


 小便たれ、うんこたれ、横もれ、失禁・便失禁・おりもののことね。これがおきたときに被害を下着だけにとどめておくためよ。


 そうか、「おにいちゃんはおしまい!」でおもらししたときに下着を替えるだけですんでいたのはスカートだからだったんだ。


 だから、旅行のコースで女子トイレの確保は大事だし、お嬢様については先遣隊を出す必要があるのよ。


 しかし、それなら男子だけ旅行の義務ありにしたら、自分らもよけいな仕事まかされなくすみますやん。


 う~ん、女子の才能を見いだせないということで、それはまずいということで今の制度になったみたいよ。


 昔は徴兵制が男子のみでつらい徴兵がおわってやっと一人前の成人男子という感覚で男女差別があったようだけど、いまでは先進国で徴兵制のあるところでは男女平等ね。戦争について、あ、戦争とは加害らないわね。危機克服について才能のある女子を見逃す手はないし、特にドローン戦になって歩兵の体力勝負要素が減ってきているから男女差はないわ。将軍だから後方にいて安全ということもなくなったしね。

 産めよ増やせよで女子が妊娠しっぱなしの時代ならともかく、いまだと女子についても修業や旅行はさせてみることになっているわ。

 だめなら以前は放逐ほうちく出家しゅっけもあったらしいわ。l。


 本家は大変だ。


 馬鹿ね、分家のほうが人権は認められにくかったのよ。放逐や出家ってまだ生きてるじゃないの。


 うわあ。


15分ほどしたら、シャワーを浴びてすっぴんの叔母さんがリビングにもどってきた。

 そこからミッションの説明がはいる。


  とりあえず美羽が返ってくる夜に3人で集まってどうやってエスコートしていくか考えることになるわ。場所はここでいいかしら。

 企画書造りね。


 ちょうど1週間あるから1日3時間、これにあてましょう。


 休日には現地にいってみてね。

 

ええええ。




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