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母にいいまかされ実家(?)に逃げることになった 中学3年鬼頭二郎の受難

第1部 準備編

本編第1話 母にいいまかされ実家(?)に逃げることになった

中学3年鬼頭二郎の受難


母と喧嘩になった。

自分、鬼頭二郎が中学3年の7月下旬、学校の補習(私立中学では高校なみに補習があるのだ)も一段落して夏休みになったばかりの昼下がりのことだった。高校教師の父母は部活の面倒をみに出張、中学2年の妹はともだちのところへ遊びに行っていた。

家に残るのは自分一人だ。補習も午前中に終わり、夕方までは自分の時間だと思ったのが早計だった。

「平日の昼間から居間でごろごろ~ごろごろ~と、若い男の子が何してんの。昼寝が趣味のあの少年みたいなことになってんじゃない、あなたにはしずかちゃんもジャイ子もいないのよ。」

 午後2時ころ、不意に母が帰ってきた。のび太について、婉曲えんきょくな言い回しをしている。どうものび太とあだなをつけたり呼んだりしたら、ハラスメントになるらしい。数学教師が文学的なことするんじゃねえよ。(少し前にはやった不適切なドラマだったら「うるせえ、ブス、鬼ばばあ」とか言って家をでていくんだろうなあ)(むかしむかしの少女マンガだとロボットの母と娘の喧嘩で娘が母親に更年期障害のヒステリーばばあ!というシーンがあったなあ。いま、なまみの人間にそれやったらまずいだろうなあ。ロボットで婦人科系の病気がないことが前提だから言えた、あるいは描かれたシーンだろうしなあ。やはり『パタリロ!』は名作だなあ、あ、あきらかに更年期でないひとに言うのだとしゃれになるのかなあ、いやムリか)、とか、思考がぐるぐるとあちこちにとんでいく。


 水ようかんの複数のバリエーションをたのしみ、冷たいお茶を飲み、冷房のきいた居間のさらに冷房のよくきくカーペットのうえでごろごろしていた。カーペットでごろごろしても身体が痛くない。自分は若いし、ここ1年あまりの修業のせいか、わりと打たれ強い男子であり、体重も軽いので、クッション性のものがなくても、横になって快適なのだ。このカーペットに横になれるということ自体が、母にとっては男子の特権にみえている、ということがわかるのは少しあとのことだ。

進学校の短い夏休みと修業の合間に積んであった小説やらマンガを読む、という休日の至福の時が破られてしまった。

12畳くらいのひろさのリビングの床がみえている部分はごろ寝には最適だ。テーブルやいすがあっても、3ころがりくらいが可能なスペースが4畳くらいはある。ただし、ごろ寝をするのは自分だけだ。気取りっこの妹も、教師の体面のある父母もごろ寝はしない。あるいはカーペットのうえだと歳よりだと痛いのかもしれない。

自分は、小さいころから喘息があったせいか、すわった状態の医学用語の跪座きざ呼吸が一番悪い状態だえい、ぜんそくの発作ひどいと横になれなくなるため、回復期に横になることについておおめみられていた。

客観的には、お優雅とはほど遠い、なさけない状態であった。それは認める。ただ、進学校でほかにもいろいろ活動のあるものにとっては休みは貴重なのであり、一昔前のなにもしない大学生みたいに思われたのは心外ではある。いまは「ぐらんぶる」だって主人公の大学生はちゃんと授業に出ているぞ。修業もしているのは母は知っているはずだ。

 出かけた先でいやなことでもあったのだろうか。母は朝とは明らかに機嫌が違い、額に青筋がたっていた。D I Eとかよめそうな筋だ。え、DIEだと?某有名アニメだと、ヒロインが主人公を1日平均8発被弾させているが、その銃撃前のシグナルじゃないか。

 自分は鬼頭二郎14歳。二郎だけど鬼頭家の長男だ。8月1日に15歳になる私立中高一貫校の3年だ。IQは150以上なうえ、頭の回転がふつうのひとの3倍くらいあるらしく、平行していろんなことを考えている。口に出すことはその場その場なので十分用意したプレゼンテーション以外は一般のひとにはわかりにくいらしい。自分になれているひとで、頭の回転がついてこれるひととは話が通じる。母とは相性があまりよくないようだ。

中肉中背で成績が学年100人のなかでも上のほうだが数学オリンピックや化学や物理のオリンピックを狙えるようなレベルではない。まわりには自分よりすごい人間がうようよいるように見える。

マンガやライトノベルは読むけど、古典とか漢文とか、翻訳ものとか、難しい本を読むのは苦手だ。国語系はそれほどいい成績ではない。日常生活にさしつかえはないが、喘息ぜんそくがあるので体力勝負の格闘技はしんどいし、走るのも短距離でもしんどいが長距離はもっとしんどい。近眼だし乱視もあるので、やったことはないけど、弓道とか射撃系もだめだろう。

 母、鬼頭すみれ45歳。12月10日に46歳になる。公立高校の数学の教師をしている。父鬼頭主税ちからとは高校からの同学年で高校・大学が同窓の恋愛結婚らしい。小柄でかわいらしい外見でアニメ声だが、ヒステリーばばあのうえに語彙が豊富で正論でせめてくるのでうるさ鬱陶うっとうしい。自分は、日記に何度も書いたせいで鬱陶しいも薔薇ばらも漢字で書けるようになった。

 うるせえなあ、鬱も薔薇も漢字で書けないくせに

と小声でいったのが聴こえたらしい。

 なんだとぉぉぉ…

 履歴書もろくにかいたこともない、半人前のじゃがいものくそがきのあほんだらのくせになにをゆうとんじゃい。へのっとんじゃねえぞ。

 怒りのあまり地元の方言がでてきてしまった。

 鬱も薔薇も嘉門達夫(現在タツオ) 該当の歌をうたっていたころは達夫)の憂鬱の鬱という字は♪という曲をききこんでたらかけるわ。履歴書の賞罰欄には漢字検定はかけるけど漢字検定もろくにうけとらんキモオタ男子の本好きが。

 あの、息子に対してキモオタ男子はないでしょう。それに本好きって悪口なんでしょうか…

 きょうも顧問をしているバレー部がぶざまな負け方をしたらしく、猛烈に機嫌がわるいうえ、自分の悪口損権罵詈讒謗あっこうぞうごんばりざんぼうに自分で酔うような状態になっている。人を殴っているうちによりハイになって暴行がエスカレートしていく塩梅あんばいだ。

 お前は小児ぜんそくが幼稚園のころからあって心配されていたこと、ひいじいちゃんも、ひいばあちゃんも、おじいちゃんもおばあちゃんもおとうさんもわたしも心配していたこと、鬼頭家の代代伝統の身体訓練もさぼりがちで本家に顔向けができなかったこと、IQが150あることが小学校入学のときの知能テストでわかったこと、そのためまわりと話があわずいじめられたり、仲間はずれにされたり、こづかれたり、なぐられたり、けられたらい、人前でシャツを脱がされたり、体育祭のときに体操着を格差たり、文化祭の演劇で舞台衣装を隠されたり、日常的に上履きを隠されたり、コンパスの針のところや大型三角定規の30度の角度のところでつつかれたり、誕生パーティーに呼ばれて前の日にキャンセルされたりしないか心配だったこと、それは、わたしがいじめっ子としてやったことがはねかえってくるのか心配しているのではないかと勘繰られるのは心外しんがいであること、それは、この際あまり関係ないこと、みなが勤勉にやって汗だくだくなときに涼しいところで、みるからにごろごろされるとやはり業腹であり腹がたつこと、同じ意味を2回重ねて自分のミスに怒りがわいていること、を説明した。 さらに読んでいる本をみせろときた。

藤沢数希先生の「ぼくは愛を証明しようと思う」幻冬舎文庫じゃないの。恋愛工学で女性をなんとかしてハーレム的なことをするものね。女性蔑視で教育上よくないわ。性的に放縦ほうじゅうで童貞が読んだらものすごく悪い影響を受けるし、処女が読んだら男性への警戒ばかりするようになるかもしれないわね、

 ずいぶん読みこんでいるんだなあと、こころのなかでおもってしまう。だいぶん前にマンガ化ドラマ化もされているが、そのころみたのだろうか。

 そんなものはフィクションなの。親はこどもに性的にも公的にも私的にも堅実であたりまえの生活ができ家庭をつくり孫の2,3人を観たいものなの、嫁としては夫の本家にもいい顔をしたいものなの、実家にもこどもを自慢したいものなの、それなのに、おまえときたら、せっかくの中高一貫の名門校にはいっておきながら部活動にもはいっていない、ほかの修業は叔母さんにしてもらっているけど、せっかく上下横に中流階級以上の子息の広いつながりできるかと期待していたのにクラスメイトの数名と幼稚園からお前を可愛がっている龍の口の家の双子くらいしか遊んでいない、こどもの交遊関係に口出しをするのは最低の親だから思っているし、教師としても保護者にそういっているから、口には出さないけど。


 いや、いま口に出してますやん。どうしてツッコミのときは関西人でなくても関西弁になってしまうのだろう。

 修業もしてある程度鍛えられたことはしっているけど、本来のものではないし、母親は心配するのが商売なんだからなにがなくても心配する、不良との交友がないことはいいことだがそれでも心配する、そのうえでごろごろした姿はみたくないのよ。

本家の修業なしだと本家にばかにされっぱなしなの、しょうがないけど嫁としてつらいわ。

 えええ、嫁といったって、本家にいくのは何年に1度だし、そもそも嫁は他人じゃないのか。

 

スポーツだって中肉中背だから野球や相撲やプロレスはだめで、ボクサーとしてはぜんそくがあるし、水泳でも身体が小さいのはハンデになるわ。ギャンブルレーサーの競艇と騎手とオートバイレーサーは小さいほうがいいけど、そこまで小さくはないわね。


進路指導でだめだしをするいやみをはじめやがった。生徒相手でここまでやったらハラスメントだろう。


 学業でも中2としてはまあまあだったけど、社会にでて通用するものはこれからね。

11月にはわかるかしら。囲碁や将棋も才能なかったし。


 家事と勉強ができて彼女と妹を思いやる子になってほしかったのに、なんで家族の気持ちも考えないで、ごろごろsるのを平気でできて、母親がつらい気持ちでいるときにさかなでするような口答えを平気でできるようなドジでマヌケなすかたんになってしまったのやら。さめざめと泣いてしまうわ。さめざめ


 自分でさめざめいうか。もろにウソ泣きやん。あ、落語「お茶汲み」のはなしを最近アニメでみたせいか茶をちょっと指にひたして目じりから涙をながしたようにしている。

 女の涙の威力を知り尽くしているぞ。

 それとこんな悪書は没収します。

 

 え?ええええええっっ。


 なんて理不尽な。学校の先輩から代々受けついできたR18でないのに秘密の学級文庫の男子中学生へのサービス満載な本なのに。そんなことしたら弁償しなければならなくなる。自分の小遣いは月4500円なのに。1000円だってアルバイトしてない時期にはいたいんだ。理不尽すぎる。法的にもおかしいぞ。


じゃ、没収はしないわ。預かっておいて、わたしがその先輩に返します。


えええ、先輩の前に母がでてくるのおおお。

それに、嘘泣きにしてももう少しまじめにやってほしい


衣食住全部親がかりでヤングケアラーでさえないのに。まったく、本家にあわす顔がないわ。法の支配は鬼頭家の妻には及ばないの。英国女王は君臨すれでも支配せずず、だけど、鬼頭家の妻は君臨して支配するの。いうこときいて片づけるか、ちゃんとするかしなさい。このぼけなすが。妹は素直でかわいいのに。

 しゃきっとして修業か勉強していれば、わたしはこんなに心を乱すことはなかったのよ。



 ちくそー、勉強して法の支配もある程度わかってけど、血で血を洗う英国史がもとにんっているから相当物騒なことが前提になっているのは身に沁みているぞ。

児童相談所に通報して、家族が逮捕されるのもいやだし(※注 まちがった短絡的な知識です)、抗議手段がとぼしい。

とりあえず、ここは母の怒りがおさまるまで退散だ。


親って、こどもに安心安全な家庭を提供すべきなんじゃないのか。民法の家族法でも親権は親の権利じゃなくて子供への義務として構成すべきと教科書に書いていたぞ。

保護者には言うけど自分はどうでもいいのか。兄弟姉妹間で比較してバカにするというのはタブーじゃないのか。

 1年ちょっと前に決心した予備試験と司法試験にとおって10代で弁護士になって自立してやる覚悟をさらにかためる。現在予備試験の短答式試験を終えた段階だ。

 1日やすんで9月の論文式試験の勉強をはじめるつもりであった。すこしの休憩でだめ人間と決めつけられるなんてひどすぎる。


 自分は実家に帰らせてもらう。


  そう言いはなって自分は800mはなれた鬼龍院家へ走っていった。

 鬼頭家が代々やることについては、本来16歳で知ることになっている、というのはしっていたが、いったいなにをしなければならないんだ?



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