第24.5扉 猫
吾輩は猫である。
名前はあるにはあるが、そんなことはどうでもいいので割愛する。
吾輩はとある世界からやってきた。
ここの家主である男の行く末が気になったからだ。
家主はどうも頼りない。
慎重な姿勢は良いが、物事、特に人間関係に踏み込まず、何かとのらりくらり躱している様だ。
せっかく異世界に行って、冒険心を養っているのだ。
残念に思うぞ。
そして、吾輩への敬意も足りないと思うぞ。
それを鑑みて、もう少し美味い飯を出すが筋であろう。
ただ、最近は人間関係にも変化が見られた様だな。
ぶつくさ言いながらも、言い方からして適度な関係を築いているらしい。
根が優しく、面倒見が良いからだろう。
異世界を歩き渡ることで、心境にも変化があったのかも知れん。
そういえば、新しい仲間が加わったな。
鳥だ。
たぶん、十姉妹だろう。
こやつも吾輩とは異なる異世界から来た。
姿を見せているときは、割と家主にべったりだ。
家主の身体に乗ったり、一生懸命に視界に入って遊ぼうと誘っている。
まるでガールフレンドの様だ。
吾輩が傍に居らぬとき、何してるか分からんがな。
この前、異世界から帰って来た家主は、やけに消耗しておったな。
何が原因か詳しくは分からんが、妙な圧を感じた。
推測に過ぎないが、どうも吾輩よりは数段上位の生物の気配がするな。
おお、怖い怖い。
近づきたくはないものよ。
こう偉そうに語っているが、吾輩はそれ程には事情を分かっておらん。
特にこの家に何故、異世界への扉があるとか…な。
その辺は家主に任せ、吾輩は見届けるとしようか。
では…な、おやすみ。




