33話 淑女然とした侯爵令嬢アウレリア
「いい? 私の方がライオネル殿下にふさわしいの」
「霞のご令嬢はいつも通り端っこに居ればいいのではなくて~?」
「この前平民と一緒にいるのも見ましてよ、付き合う人は似たようなはぐれ者なのですわね」
ジュリアナ様と取り巻きの口は止まることがない。
はあ、どうしよう。いくらジュリアナ様を見ても動悸がしなくなったからと言って、こんなに目の敵にされるとイラついて来ちゃう。できれば構いたくないわ。どいてくれないかしら。
「では、わたくしも仲間に入れていただこうかしら」
騒いでいた令嬢とは別のところから声が聞こえた。綺麗な凛とした声にはどこか愉悦が浮かんでいる。声の方を見ると、にっこりと令嬢の笑みを浮かべたアウレリア様が私のすぐ横に立っている。
「孤高の令嬢でしたかしら? それとも売国奴?」
裏で言われている悪口など把握済みだというように、綺麗な姿勢でジュリアナ様たちを見下すアウレリア様。かっこいい……。
言い返せないジュリアナ様たちにさらにアウレリア様は追い打ちをかける。
「わたくし義妹にするならミシェル様の方が望ましいわ。授業が始まりそうな時間にみっともなく騒がず、とても淑女でいらっしゃいますもの」
完璧に喧嘩を売っていくスタイルね。ジュリアナ様は歯をぎりぎりと悔しそうに鳴らしている。
「ふ、ふん、貴方は隣国に行くのでしょう? 二人そろって隣国へ嫁げばいいんですわ。ついでに奇妙な技を持つ平民も連れてってくださいまし。とても清々いたしますわ」
「あら、わたくし人間ではない方々を置いていくのは忍びありませんわ」
ジュリアナ様はなんとか言い返したもの、すぐにカウンターが飛んできている。ジュリアナ様は顔を真っ赤にして「負け惜しみですわ!」と叫んで、どんどんと足音を立てながら前の方へと戻っていく。
反対に、淑女然としたアウレリア様は私に視線を投げて歩き出す。
「さ、ミシェル様。いらして」
「は、はい!」
私はこうしてアウレリア様の後ろで過ごすことになった。
お礼をいつ言おうか迷う。教室ではジュリアナ様もいるので、下手にお礼を言うと突っかかってきかねない。放課後、生徒会の時にでもお礼を言おうと思った。
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