34話 隣国へ嫁ぐ侯爵令嬢の思い
放課後、生徒会の時にでもお礼を言おうと思った。
けど、生徒会室に行けばノクタリウス様だけで、アウレリア様は先に図書室へ行ったと教えられた。だから、私も図書室に来た。
学院の図書室は初めてだ。扉を開けると本の匂いが鼻をくすぐった。立ち並ぶ棚の間を歩いていく。今度、ゆっくりと本を探してみたいものだ。
サファイアの長い髪を認めて立ち止まる。アウレリア様が勉強机に座って本を読んでいた。隣では寝こけているラルフさんがいる。
目標を見つけた私は、足をそちらに向けた。
「アウレリア様、ご機嫌麗しゅう」
「ごきげんよう」
私が挨拶をすればアウレリア様も挨拶を返してくれる。
「今朝はありがとうございました。どう対処しようかと迷っていたので、助かりました」
「いいのよ。ライオネルから頼まれてたの」
ライオネル殿下が責任取るっていう契約だったものね。アウレリア様に頼んだのね。
「お身体は大丈夫ですの?」
「はい、おかげさまで。生徒会のお仕事ができず申し訳ございません」
「いいのよ、貴女の分はライオネルがやってくれたわ」
ライオネル殿下にさらにお礼をしないといけないことが増えてしまった。今度あった時にしっかり話さないと。
私はお礼を言っておきますと返して、その話を終わらせるべく話題を変える。
「アウレリア様は何の本を読んでおられたのですか?」
勉強机には呼んでいる本が開かれて置かれ、その横に数冊の本が積み重さなっている。
「ヴァレリアン帝国の本に一通り目を通しているところですの」
「勤勉でいらっしゃいますのね」
「嫁ぐ国ですもの。文化には慣れておこうと思いまして」
アウレリア様は、話しながらどこか遠くを見つめる。哀愁が漂う姿は、何かを諦めきっているようにも見えて、私はくっと喉が詰まった。彼女は、本当にヴァレリアン帝国に嫁ぐことを心の底から認めているのだろうか。それなら何故、フィリップ殿下が死んでしまったら、死を選んでしまったのか。
私は、彼女の心情がわからなくて、どうしてそうしてしまったのか、口をつきそうになる。でもいきなり何故死んだのかと聞いても、相手にはわけがわからない。今、アウレリア様は何を考えているのだろうか。
「アウレリア様……心残りなどありませんか?」
「随分と踏み込んでくるのね」
聞きたくて小さく口を出た言葉は、冷たい口調で断された。
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