第13章-34 クロトビの罰
「それって……」
ライモンはその処遇に思いを馳せ、思わず体を震わせた。
ひとつところに閉じ込められ、誰とも話せず、ただ生きる。それは孤独などという生易しい話ではない。ただ無為に時を過ごし、生きる、というよりはただ生かされているだけだ。生きながら死んでいるようなものだ。
「それって死罪とどう違うんですか」
ライモンが小首をかしげながら言う。
「そうですね」
小さく吐息をつきながら、アイネズが答える。
「もしかしたら、死ぬよりも辛い罰やもしれません。ですが、死罪よりはと、本人も望んだことです。致し方ありますまい」
「望んだ?」
「はい」
ライモンの問いに、アイネズはうなずいた。
「死ぬよりはましだと思ったのでしょう。命乞いまでして、幽閉を受け入れました。数日後には囚人用の馬車で送り出されます」
「そうか……」
暗い表情でライモンはつぶやくように言った。それからはっと思い出したかのように顔を上げて、アイネズを見やった。彼は心得たようにひとつうなずく。
「クロトビのことですね」
「ああ。あいつも幽閉になるのか」
「いえ。彼はまた別の罰が与えられました。彼は別の土地に送られ、そこで苦役につきます」
「苦役……」
「強制的な肉体労働ですね」
ライモンのつぶやきに、モエギが答えた。ライモンが静かに守護精を見やる。
「肉体労働?」
「はい、例えば鉱山での採掘などあります。他の咎人とともに、毎日朝から晩まで容赦なく働かせます」
「ほかの咎人と? だが、あいつは貴族だろう。そんなことができるのか」
「まず、無理でしょうね」
ライモンの問いに答えたのは、アイネズだった。アイネズは目を伏せて、それから顔を上げてライモンを見やった。
「クロトビは、良くも悪くも貴族です。人を使役することはあっても、自分から労働などしたことはないでしょう。しかも、肉体を使うことなど、ほぼしたことはないでしょうね」
「耐えられるのか、あいつ」
「さあ。耐えられるかどうか。ただ、もしも耐えて改心することがあれば、彼はまだ若い、その時は釈放されて、再びこの世界で生きていくことはできますが、貴族の中で受け入れられることはないでしょうね。庶民として生きていくことを彼は良しとできはしないでしょう」
「受け入れてもらえない? だけど、あいつは良くも悪くも貴族だと言ったじゃないか」
「ええ。クロトビは貴族です。貴族以外のなにものでもない。ですが、我が国の貴族として、もっとも行ってはいけないことを、彼はしてしまったのです。貴族社会が彼を再び受け入れることはないでしょう」
「もっともしてはいけないこと?」




