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牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第13章

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第13章-33 本題

 「なんと」


 アイネズはアカネの後もとに跪いた。アカネが目を白黒させて、困っているのがはた目にも分る。アイネズ以外には。


 「こちらに留まるも、王都に赴かれるも、決断されたならばお知らせください。あなたがどこであったも快適に暮らせるようにいたします故」


 「あ、ありがとうございます」


 アカネの視線はアイネズから外れて、どこか別のところをきょろきょろと見つめていた。以前、娘時代に母に連れられて領主館に行ったときならばともかく、淑女扱いされたことはなく、アイネズの態度に戸惑うばかりだった。


 「それで」


 母の困った顔を見ていられず、ライモンが声をかけた。アイネズは立ち上がって、彼を見つめる。


 「本題に入るんじゃなかったのか」


 ライモンの言葉に、アイネズは一瞬、驚いたように彼を見て、それから静かに微笑んだ。


 「これは私としたことが」


 アイネズはライモンの向きなおると、片手を胸に当てて丁重に一礼した。


 「失礼を、次期さま。久々に会った従妹のことが気にかかりまして。次期さまをおろそかにしたわけではありません」


 「それはわかってるけど……」


 自分の母の心配をしてくれたのだ、それが悪いわけではないとわかってはいる。だが、そのまま放っておけば、ずっとアカネに話しかけていそうな気がした。


 そんなライモンの想いを見抜いたのか、アイネズは少し前に出て、再び軽く一礼した。


 「前領主である我が兄とその一家の処分が決まりましたので、ご報告させていただきます」


 アイネズはごく自然体だったが、ライモンは幾分緊張した。ライモンもまた関わったことだ。気にはなっていたが、日々の生活に追われ、またアイネズに連絡するすべもなかった。


 もっとも、モエギに頼めばどうにかしてくれたのだろう。それはわかっている。だが、あえて知りたいとも思えなかったのもまた事実だった。


 ライモンが何も答えないのを、彼が躊躇していると思ったのだろうか、アイネズが少し伺うようなまなざしで彼を見やってくる。ライモンは少し身構えながらうなずいた。


 それにうなずき返して、アイネズは口を開いた。


 「まず、我が兄であるフウケツは、北の牢獄に投獄、幽閉されました。生涯をそこで過ごすことになりましょう」


 「幽閉?」


 ライモンは思わず聞き返していた。難しい言葉の意味は、さっぱりだ。それに気付いてか、モエギが横から言葉を添える。


 「牢屋とか、塔の上とかに閉じ込めて、そこから出さないようにする罰です。許されるまで、そこから出ることは許されません。ほかのものと会話を交わすことも、許可された場合を除いて許されておりません」


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