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牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第13章

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第13章-23 ライモンとセイジュ

 指名されて、シラフジは自分で自分を指さしたが、すぐににっこりと微笑んだ。


 「もちろん、お任せください。まずは、こちらから始めましょうか。次代さまはあちらのアカヒャクヤクモドキからお願いいたしますわ」


 モエギとシラフジは手分けして、薬草の山に向かった。


 ライモンにはふたりが何をしているのか、よくわからない。だが、ふたりが触れている薬草が少しずつ嵩を減らしていく。採取してから時間が経っているため、少ししなび始めていたが、それが目に見えてしおれていく。それが波動というものなのだろう。


 ライモンとセイジュはふたりの作業をただ見守るだけだ。なにをすることもできない。


 手持ち無沙汰に、ライモンが髪をかき上げたとき。ぽつりとセイジュがつぶやくように言った。


 「それにしても」


 その声に、ライモンは彼のほうを向いた。ライモンの護衛として数日過ごしているが、そもそも今のライモンには護衛などほぼ必要ない。だが、セイジュはモエギのように彼のそばを離れず、牧場の仕事も厭わずやっている。いや、むしろ、楽しげであった。


 今日も朝が早いのに、供に来てくれた。その彼が何か言いたげだ。


 ライモンはその先を待った。


 「変でしたね、あのふたり」


 「なにだが?」


 ライモンはセイジュの疑問に、疑問で応えた。セイジュは自分が声に出しているとは思っていなかったようで、驚いた表情でライモンを見やった。


 「あ、聞こえていましたか、すみません、ライモンさま」


 「ああ、ひとりごとにしては大きかったから、しっかり聞こえたよ。ついでに、さま付けはよせって言ったよな、なんども」


 「ですねえ。でも、忘れてしまうんですよ。俺、一応次期さまの護衛ですから」


 「次期さまねえ。まあ、今ここじゃ必要ないものだしな。やっぱり呼び捨てでいいよ」


 うーん、とセイジュは首をひねりながらも渋っていた。王都暮らしが長い彼にとって、自分より身分の高いものを呼び捨てにするという習慣がなかった。


 ほうっとため息ひとつ、セイジュは落としてからライモンに向き直った。


 「かしこまりました、ライモン」


 その言葉に、ライモンは不服そうだったが、それでもセイジュが精いっぱい譲歩しているのは十分わかっている。


 「それで、なにが変なんだ」


 ライモンは重ねて聞いた。セイジュははっとしたようにうなずく。


 「あ、いや、さっきのふたり、牛を連れてたじゃないか」


 さきほどよりは言葉遣いがざっくばらんになっている。だが、ライモンにとってはこのほうが楽だ。もっと気楽にしてもいいとさえ思ってしまう。年も近いのだし。


 「ああ、そうだな」


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