表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第13章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

600/611

第13章-22 持ち帰る準備

 「おい」


 ライモンがその背に呼びかける。


 「牛、忘れてるぞ」


 ライモンがのんびりと草を食んでいる牛を指し示した。トビたちが不自然に連れてきていた牛だ。カチが慌てて牛の鼻輪をつかんで引っ張った。牛は抵抗するように少し抗ったが、すぐにカチに連れられていく。


 「あ、ちゃんと薬を取りに来なさいよ」


 シラフジが思い出したかのように、トビの背に声をかける。その声が聞こえたのかどうかはわからない。少しだけ、振り向いたような気がしたが、気のせいかもしれない。


 ふたりと一頭の姿が見えなくなると、ライモンは吐息をついた。


 「思わぬ時間を取りましたわね」


 シラフジもライモンと同じ気持ちと見え、ため息とともに髪を払った。ライモンはむすっとしたまま、うなずく。


 「まったくだ。こんなに日も高くなってしまった。早く薬草を持ち帰らなければいけないんじゃないか」


 「そうですわね。こんなに採れるのであれば、馬車で来ればよかったですわね。まあ、あの悪路では、馬車は難しいですけど」


 「なんだよな。ここは徒歩で来るほうがいいんだよな」


「問題ないでしょう」


 ライモンの言葉に応えるように、モエギが言った。ライモンがおや、というように守護精を見やる。


 「どういうことだ、モエギ」


 「運びやすいように、波動をかけてしまいましょう。このくらいなら、四人で運べると思いますよ。背負い籠もありますし」


 そう言いながら、モエギはシラフジのほうを見やった。


 「シラフジさまも遊ばないでください。あなたのほうがよくご存知だと思いますよ。おひとりでこのくらいは持ち帰ることもあるでしょうに」


 シラフジは少しばかり肩をすくめた。その際に、わずかに舌を出したのを、ライモンは見逃さなかった。


 「シラフジさま!?」


 「あら、薬師には必要な波動ですわよ。薬草は大量に必要になりますからね。まあ、体力勝負なところはありますけど」


 はあ、とライモンはため息を落とす。背後でセイジュが笑いを堪えているのがわかった。


 「それで」


 とライモンはモエギに目を移す。


 「これをどうするんだ、モエギ」


 「水分を少し抜きます。本格的に乾燥させるのは戻ってからになりますが、水分を抜くことで嵩も減りますし、多少は重さも軽減されます。つまり、持ち帰りが楽になるということですね」


 「そうか」


 わかっているのかいないのか、ライモンは大きくうなずいた。


 「じゃ、それをやってくれ。終わったのから籠に入れていこう。種類別にしたほうがいいんだよな」


 「そのあたりは、長殿にお任せいたしますよ」


 指名されて、シラフジは自分で自分を指さしたが、すぐににっこりと微笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ