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牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第13章

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第13章-10 採集の注意

 淡々というシラフジに、ライモンは思わず大きな声が出た。


 「まさか……」


 「ええ、そのまさかです。今回、アカネの薬に使用したのは、このテブクロノハナですわ。量を間違えさえしなければ、テブクロノハナは心臓の発作によく効く薬となります。もちろん、摂りすぎには注意が必要ですので、治療師や薬師が様子を見ながら処方しなければなりませんが」


 「つまり、母さんはシラフジさまがここにいてくれたから助かった、ということか。改めて、感謝します、シラフジさま」


 「感謝ならば、陛下と当代さまに」


 シラフジに向かって、不器用ながらも一礼するライモンに、シラフジは微笑んで言った。ライモンはふと顔を上げる。


 「お二方がすぐに私を呼び寄せてくださったからこそ、間に合ったのですわ。私はただ私の責務を果たしただけのこと。感謝ならば陛下と当代さまが受けられるのが当然かと」


 ライモンは困ったようにモエギを見やった。守護精はうなずいて口を開いた。


 「陛下と当代さまに、ライモンの感謝を伝えましょう」


 一瞬呆気にとられたようなライモンだったが、すぐにうなずく。


 「うん、頼んだ、モエギ。お二方に俺の感謝を伝えてくれ」


 「かしこまりまして」


 モエギは静かに一礼した。ライモンにはどうやってモエギがふたりと連絡を取るのかわからないが、当代さまとモエギは同じ守護精同士、繋がっているという。人の子にはわからないやり方があるのだろう。

 シラフジは微笑んでそのやり取りを見ていたが、すぐに手を叩いた。


 「さあ、陽も登り切ったことですし、ヒャクヤクを摘み取りましょう。お手伝いくださいましね、ライモンさま、次代さま」


 その言葉に、セイジュが俺は、と自分を指さす。シラフジはふん、と鼻を鳴らした。


 「あなたは当たり前でしょう。主が働くのです。あなたが働かなくてどうしますか」


 セイジュはうへえ、とうめいたが、それでも動くことを嫌がっているわけではなかった。


 シラフジはヒャクヤクを掲げてみせた。


 「ヒャクヤクは根から引き抜いてください。この草は余すことなく使えます。葉や茎のほかにも、花も実も、根も使えますので」


 「え、でも」


 ライモンは驚いてつい口に出していた。シラフジが口の端を上げながら、ライモンを見やる。そのまなざしに、ライモンは少し怯えながらも先を続けた。


 「根まで引き抜いたら、ここいらのヒャクヤクはなくなってしまうじゃないですか」


 「そうですわね」


 ため息をひとつ、シラフジはついた。


 「知らぬものは、そうやってすべてを奪いつくしてしまうのです。その先のことを考えてません。それゆえ、各地でヒャクヤクが全滅して、貴重なものになったのです。ここにこれだけあるのは、奇跡と言っていいかもしれません」

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