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牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第13章

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第13章-6 夜明け

 「あ、いいな、モエギ、俺にも頼む」


 少し先で、ライモンがセイジュの光の球を見ていう声が聞こえてくる。うらやましそうなその声音に、セイジュは小さく笑った。


 「あなたには必要ないでしょう」


 「そんなこと言うなよ。便利じゃないか」


 そんなやり取りが少しの間繰り返され、そして、守護精がため息をつきつつ、ライモンの為にも光を生み出すのを、セイジュは見つめた。


 今度は、シラフジも守護精にねだったが、それはすげなく断られる。あなたは自分でできるでしょう、と。シラフジは文句を言いながらも、実際に小さな光の球を自分の前に出した。今まで出さなかったのは、やり方がわからなかったのだろう。だが、モエギが出してみせたことによって、たちどころに理解したのは、さすがというべきだろう。


 「波動を使うのは、疲れますのに」


 ぶつぶつとシラフジは文句を言ったが、モエギは意に介していないようだった。


 夜が白々と明けていく。日が昇るより前に、光の先触れが大地を少しずつ染めていく。暗闇がゆっくりと後退し、輪郭が白く浮かび上がっていく。


 世界が形を、色を取り戻し始めていた。


 「ここだ」


 明るさが増し、頼りにしていた光の球も溶けていくように消えた後、ふいに開けた場所に出た。一面に草が生い茂り、近くから水が流れる音が聞こえてくる。鳥たちの鳴き声が背後から聞こえてきた。


 「まあ」


 シラフジの口から、感嘆の声が漏れる。火が差し染め始めた野原を見つめ、それから生えている草を確かめるように片膝をついた。


 そっと手を差し伸べて、近くの葉に触れた。ぷちっと葉を摘み取ると、匂いを嗅ぐ。それからしげしげとその葉を表から裏から眺めまわした。


 「確かに、ヒャクヤクですわね」


 シラフジは立ち上がりながら、つぶやくようにそう言った。ゆっくりと野原を見渡す。同じような草が一面に生えていた。


 「これが薬草なのか」


 「ええ。ヒャクヤクモドキも混じっているようですけど、よく自生していますわね。このような場所がここだけですか」


 シラフジは振り返ってライモンに尋ねた。ライモンは戸惑ったように応える。


 「いや、似たような場所がこのあたりにいくつかある。で、そこにもここと同じような草が生えている」


 「まあ、それは喜ばしいことですわね」


 ふふっとシラフジが笑う。


 「これ、そんなに貴重な薬草なんですか」


 ライモンの素朴な疑問にシラフジはうなずいた。


 「ええ。ヒャクヤクの名の通り、百ものさまざまな効能があると言われています。薬の処方にもよく使われますが、貴重ですので、代用品が良く使われます。効き目は落ちますけどね」


 「そんな貴重だったんだ」

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