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牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第13章

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第13章-4 波動と薬草

 シラフジは静かに説明する。ライモンはへえ、と言って、自分の掌を握ったり開いたりしてみた。だが、先ほどと同じようにそこから何かの力が出ているようには感じられなかった。


 それを見やって、シラフジは小さく笑う。


 「波動は目に見えるものではありませんわ。波動はすべてに存在します。すべてのものの大元は波動です。根源、と言っていいかもしれません。それを捕らえることができ、波動に干渉することができるものが波動師と呼ばれるものたちで、そのなかで、治癒に長けたものが治療師なのですよ」


 シラフジは微笑みながら言う。ライモンがよくわからないながらもうなずいていると、近くでため息が聞こえた。振り返ってみれば、セイジュがついたものだった。


 「この話、おまえも知っているのか、セイジュ」


 セイジュは肩をすくめて小さく笑ってみせた。


 「ええ。学び舎で必ず一度は学びますからね。一応、波動の扱い方も習いますが、まあ大半のものはなにができるわけではありません」


 「波動師になれるほど、波動を扱えるものは限られていますからね」


 シラフジはセイジュに言葉を添える。ライモンは再びシラフジを見やった。


 「多少は波動を扱えるものはおりますが、安定して使えるものはわずかですわ。それでも、治療師がある程度多いのは、わずかでも波動を整えてやれば、人は自分で治す力を持っているので、それを高めることができるのです。そして、薬草にもその力があります。薬草それぞれに効能が違いますし、どう扱えば、その力をちゃんと発揮させることができるのか。人の体のことを知り、薬草などの知識を塔で学んだものが、治療師なのですよ」


 「こんな雑草みたいな草が、ねえ。確かに血止めの草があることは知っているし、腹を下したときに、この草を煮出して飲むといいと教わったものもあるなあ」


 ライモンが卓の上に置いてある草をつつきながら言った。シラフジはそっと彼の指から薬草を遠ざける。


 「あら、ちゃんとご存知ではありませんか」


 「このあたりには治療士とかいないし、街の治療士はなかなかここまで来ないから、少しは知ってるよ。でも、この草が薬草だなんて思わなかった」


 「そうですわね」


 シラフジはうなずいた。それから、嬉しそうに微笑む。


 「では、明日はそのあたりの実践をいたしましょうね。詳しく教えて差し上げますわ」


 ライモンはしまった、という表情をした。その後ろでセイジュが頭を抱えている。モエギだけがにこにこと笑っていた。


 「さて、飯にしましょう。皆が待ちくたびれてますぞ」


 ロウゼンに促されて、皆は母屋を出ていく。


 外からはおいしそうな匂いが漂ってきて、皆は足を速めて炉に向かった。


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