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牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第13章

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第13章-2 明日の約束

 「では明日、ご案内いただけますか、ライモンさまがこれらが生えているという場所を。できるだけ多く採取できればと思いますし、もし可能であれば、栽培できればこれほどうれしいことはないのですけど」


 「え、でも……」


 ライモンはそっとモエギをうかがった。この数日、いつもの牧場の仕事が終われば、モエギの授業があった。シラフジに付き合うとなれば、その時間を削るしかない。


 ライモンの視線の先で、モエギはただ静かにうなずいた。シラフジと争っても勝ち目はないということだろう。


 「わかりました。明日、朝食が終わったらお付き合いします」


 「あら、できたら、朝日が昇る前かその直後のほうが良いのですけど。無理でしょうか。今はロウゼンだけではなく、手伝いのものがいますでしょう。ライモンさまが抜けても大丈夫ではありませんか」


 「うーん」


 ライモンは首をひねる。手伝いのものがいると言ってもクワもコウも、まだ慣れているわけではない。ライモンやロウゼンの指示がないと、じぶんからは動けない。それでも、数日前のはじめての時よりは、ずいぶんと手際が良くなった。ふたりとも、動物の世話をするのはなんとなく慣れているようだった。


 「儂は大丈夫ですよ、坊ちゃん」


 ふたりの会話に入り込んできたのは、母屋に入ってきたロウゼンだった。食事の時間だと、呼びに来たのだろう。


 「ロウ爺」


 ライモンは振り返って彼を見やった。いつものように軽く足を引きずっていたが、目立つほどではない。痛みは感じていないようだ。立ち止まったとき、軽く手を膝上に当てる癖があるのだが、それが出ていない。


 ここ数日、シラフジがロウゼンの足を診ている。なにやら薬を調合して、夕食後に飲ませているから、その効果が出ているのだろう。


 「あのふたりも多少、仕事に慣れてきましたからな。朝の仕事くらいならなんとでもなりましょう。確か薬草は、朝露に濡れる前に採取したほうがいいと聞いたことがあります。シラフジさまが早朝を望まれるのは、そのためではないですかな」


 「あら、よくご存知で」


 シラフジは我が意を得たりとばかりに、笑みを浮かべてライモンに向き直った。その笑みに、ライモンは少し後ずさりたくなった。


 「ライモンさま、ロウゼンさまもこういってくださってますから、明日はお付き合いくださいませね」


 ライモンはうなずくしかない。シラフジは嬉しそうに跳ね回っていた。


 「それにしても」


 モエギが卓の上に置かれている薬草をしげしげと見つめながら言った。シラフジが飛び跳ねるのをやめ、守護精に近づいてくる。


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