表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第12章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

577/612

第12章-48 護衛の意味

 「いえいえ」


 セイジュは軽く首を振ると、ゆっくりと立ち上がった。


 「御身はすでにこの国の次期さまです。その身は守られねばなりません。現に昨夜、なにがあったのか、よもやお忘れですか」


 それを言われると、ライモンには否定できない。苦い顔をしていると、セイジュがにっと笑った。


 「それゆえ、陛下は私に次期さまの護衛をお命じになりました。昼夜を問わず、次期さまのお守りするように、とのことです」


 「いや、陛下が俺なんかのことを心配してくれるのはありがたいんだが……だが、護衛なんかいらないぞ」


 ライモンはセイジュに反論する。


 「それに俺にはモエギがいるからな。いつもそばにいてくれるし、昨日の夜もモエギとロウ爺が気づいてくれたし。もうあんなことは起こらないだろう」


 だが、セイジュは首を振る。


 「確かに昨日の首謀者は捕らえられました。五大家のものであれば、次期さまに手を出す愚かさは充分存じていることと思います。俺なんか、と次期さまはおっしゃいますが、御身になにかあれば、次代さまも失われてしまいます。それがどれほどの損失と嘆きになるか」


 「損失……?」


 ライモンは驚いたように眼を見開いた。セイジュはうなずいた。


 「さきほども申し上げたように、次期さまがはかなくなられるということは、次代さまも失われるということ。先の陛下が身罷られ、当時の次期さまであられたアリアケさまが当代さまになられてから、すでに長いときが過ぎております。やっと現れてくださった次代さまが失われれば、次の次代さまが現れるまでにどれほどの時を要するか。すぐに現れるか、それともまた十何年という時を待たねばならぬのか。守護精さまご自身にも分らぬことのようですから、人の子たる我らにわかろうはずがありません。待つ時間が長いほど、争いの種は蒔かれ、育っていくものです」


 セイジュはまるで書物を読んでいるかのように語った。ライモンはそれを聞いて黙り込むしかない。


 「なんてね」


 突然、おどけたようにセイジュが肩をすくめ、軽く手を開いてみせた。さきほどの重々しさが嘘のような軽さだった。思わずライモンは拍子抜けする。


 「まあ、建前はそうなんですけどね。そうなら、騎士のひとりをつければいいだけなんです。俺でなくてもいいんですけど。でも、俺が選ばれたのは、多分次期さまと年が近いからなんだと思います」


 「年が近い?」


 「ええ」


 再びセイジュはうなずいた。


 「今は行幸の最中なんで、騎士たちも同行していますが、さほど数は多くありません。それに、陛下や姫さま、宰相がたの護衛が主なので、さける人員がいないっていうのもあるんだと思います。それで、俺に白羽の矢が立ったんだと」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ