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牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第12章

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第12章-27 牧場巡り

 その後も牧場をめぐって歩いた。それは半時にも満たない時間だったが、フヨウはとても楽しそうで、始終笑みを絶やさなかった。


 やがて、三人は、いや、ひっそりと目立たないがモエギもいたので本当は四人だったが、牛たちが放牧されている場所にやってきた。歩き回ったせいか、軽く汗ばんでいて、吹き抜けていく風が心地よかった。


 フヨウとライモンは放牧地を仕切る柵に寄りかかった。ライモンは柵を背に、フヨウは前を向いて柵に手をかける。こんな時にも、フヨウの姿勢はきれいだった。


 若者とモエギはそっとふたりから離れる。姿や行動は見えるが、なにを話しているかはほぼわからない位置まで。護衛としては適度な距離だろう。


 ライモンは風を受けながら、フヨウに言った。


 「まあ、こんなものです。フヨウさまにはあまり面白いものではなかったと思いますが」


 「あら、そのようにことはありませんわ」


 ふふっと笑って、フヨウは答えた。


 「動物たちがあのようにかわいいものだとは、思ってもみませんでしたわ。ヤギの仔が近寄ってきて、手の臭いを嗅いで、なにをするのか思ったら急に手をなめてきて。驚きましたが、とてもかわいかったですわ」


 フヨウはうっとりするように言って、それからライモンの視線に気づいて少し膨れたように口をとがられた。


 「それは、驚いて下がってしまったのは認めますわ。はじめてヤギの仔を見たのです。なにをするかわからなくて、当たり前ではありませんか。でも、驚いたのはほんの少しですわよ」


 実際のところ、少しどころではなかったのだが。


 フヨウは好奇心に満ちた仔ヤギが近づいてくると、怯えたように二、散歩後ろに下がっていた。まるで仔ヤギに食べられるのではないか、というようだった。


 ライモンにとってはいつもいる、面倒を見て当然のヤギたちだったが、フヨウにとっては初めて見る生き物だ。怯えても仕方のないことだ。


 だが、それを強がっているフヨウがかわいく見える。


 「豚の子たちもとてもかわいかったですわ。たくさんいるのですね」


 「ああ、豚は多産だからな。これからどんどん大きくなるぞ」


 「そうなのですね。それも見てみたい気もしますが……」


 フヨウは残念そうな、あきらめの入り混じったため息をついた。


 ほんの一時、この牧場に滞在するだけのフヨウにとっては、動物たちの成長を見届けるのは不可能なことだ。その思いがため息に現れたのだろう。


 「だけど、よく触れましたね。触れない女の人もいますよ」


 「え、あんなにかわいいのに、ですか」


 「ええ、臭いとか、手が汚れるとか言って、そばに寄ることも嫌がる人もいます」


 「まあ、なんてもったいない……」


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