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牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第12章

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第12章-20 お茶の甘さ

 家じゅうからかき集めてきたのだろう、杯も様々だ。取っ手のついているもの、いないもの、木の杯に分厚い陶器の杯、とさまざまだ。それでも足りなかったようで、椀がいくつか見えた。


 「姫さまもどうぞ」


 アカネが明るく、お茶の入った茶碗を手渡す。彼女のために残しておいていたのだろう、ライモンの家では一番高級な薄手の陶器の茶碗だった。


 フヨウは少し遠慮したように手を伸ばすのを躊躇したが、すでに他の騎士たちは受け取って飲み始めている。それを確認して、フヨウはゆっくりと手を差し出して、アカネから茶碗を受け取った。


 「モエギ、ロウ爺たちを呼んできてくれ。一緒にお茶にしよう」


 「はい、ライモン」


 モエギは軽くうなずいて、別棟に走っていった。フヨウをはじめとした王都から来た者たちは、ぽかんとライモンを見つめている。守護精を顎で使うなど、彼らからすれば信じられないことなのだろう。


 その視線に気づいて、ライモンは少し驚いたようだった。


 「冷めますよ、姫さま」


 茶碗を手にしたまま、茫然としているフヨウに声をかけたのは、彼女とともに来た若者だった。その声にハッとしたように、フヨウは手に持つ茶碗にまなざしを落とした。


 温かな湯気を立てているそれは、フヨウが知っているお茶の水色とは異なっていた。ごく薄い黄色の液体で、陽の光の中で茶碗に触れたところがかすかに金色めいて感じられる。そっと茶碗を持ち上げると、これは花の香だろうか、優しい香りが漂ってきた。


 意を決したように、フヨウは茶碗に口をつけた。毒見もないのに、騎士たちがだれも止めないのは、彼らがすでに同じものを飲んでいるからだろう。


 「……甘い」


 水色に似合わず、すっきりとした飲み口の中にほのかな甘さが感じられた。フヨウが今まで飲んだことのない味だった。もう一口、とフヨウは茶碗を口に運ぶ。


 「お気に召しまして?」


 アカネが微笑みながら、問うてくる。フヨウはほうっとため息をつきながらうなずいた。


「はい、とても美味しいですね。この甘みは、お砂糖ですか? それとも、蜂蜜かしら」


 だが、砂糖の持つくどい甘さではない。また蜂蜜のこってりした甘さとも違う。その甘さの正体がわからず、フヨウは小首をかしげた。


 「どちらでもありませんよ、フヨウさま。このあたりでは砂糖などとても高価ですから、うちなどではとても買えるものではありませんし、蜂蜜でもありませんわ」


 その言葉に、フヨウはアカネと茶碗を交互に見やった。


 「では、この甘さは……」


 最後にアカネを見て、フヨウは問うた。

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